新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

サイコ・サスペンス

黒魔術・交霊術が呼ぶ悲劇

「16歳の誕生日を間近に控えた冬、バップは悪魔に魂を売った」という衝撃的な一文で始まるのが本書。サイコ・サスペンスの女王ルース・レンデルが、オカルトが趣味の頂点を目指した作品である。 舞台はロンドンの下町、小柄で風采が挙がらない父親ハロルド、…

真夏のサスペンス、1985

ウィリアム・カッツという作者のことは、本書(1985年発表)を手にとるまで知らなかった。。解説によると、CIA局員だったり未来学者の助手をしていた経歴があるという。何作か邦訳されているが、主としてサスペンスものの巧手としての評価が高い。本書も、真…

映画・原作、どちらも傑作

作者のトマス・ハリスは本当に寡作家である。本書は「ブラック・サンデー」、「レッド・ドラゴン」に続く第三作で、この後もレクター博士もの2編を書いただけだ。しかしその作品のすべてが映画化されるなど、ミステリー界に大きな足跡を残した人である。 19…

登場人物は3人だけ

以前「わらの女」「目には目を」を紹介した、フランスのサスペンス作家カトリーヌ・アルレーのデビュー作が本書(1953年発表)。悪女もので一世を風靡した作家で、第二作「わらの女」は映画化もされた。いずれも登場人物を絞って、心理的な葛藤を描きながら…

4人の一人称ドラマ

カトリーヌ・アルレーはサスペンスものを得意としたフランスの作家、特に悪女を描かせたら一流の腕前を発揮する。生年月日も不詳、元女優だったとも言われるが経歴についても分かっていない。第二作「わらの女」がヒットし、これについては以前にも紹介した…

エスプリ・サスペンス

フランスミステリーで悪女ものといえば、カトリーヌ・アルレーが思いつくが、本書のボアロー&ナルスジャックも古典の代表作家である。昨日紹介したモーリス・ルブランや、メグレ警部を生んだジョルジュ・シムノンくらいしかフランス作家を読んだことが無か…

牧師親子が探る16年前の事件

「背筋が凍る」サスペンスが得意の女流作家、ルース・レンデル。本書は彼女の初期の作品(1967年発表)で、長編第四作。デビュー作「薔薇の殺意」に続いて、田舎町の警官ウェクスフォード首席警部が登場する。彼は署長からアーチェリー牧師という人物から届…

シリアル・キラーの遺留物

「百番目の男」でデビューした、ジャック・カーリィの第二作が本書。主人公は、同じアラバマ州モビール市の特別捜査班カーソン・ライダー刑事。前作も異様なサイコ・サスペンスだったが、本書はそれを上回る奇怪さである。プロローグとして、30年前連続殺人…

ディープサウスでの心理捜査

大学生活初期までには、ミステリー1,000冊を読破したと豪語した僕(ほかに誇れそうなものは何もないので・・・)だが、苦手な分野というのはある。行動派といえば聞こえはいいが、暴力派に近い低俗なハードボイルドは苦手だ。しかし、それよりもっと苦手なもの…

記憶の空白3年半

本書もウィリアム・アイリッシュ初期(1941年)の作品。200ページに満たない中編のような作品だが、冒頭から中盤にかけてのサスペンスは背筋を寒くさせるほどだ。主人公が記憶の空白期間を「黒いカーテンに覆われたようなもの」と感じたことからこのようなタ…

黒のモチーフを持つ作家

コーネル・ウールリッチ別名ウィリアム・アイリッシュという作家は、独特なサスペンス小説をいくつか書いた。「黒」を冠した題名が多かったのも、特徴である。代表作は3つと言われ、 (1)幻の女 殺人罪で有罪判決を受け、死刑が迫る友人のために、 彼のア…

殺人者の肖像

ルース・レンデルは背筋の寒くなるようなスリラーを得意とする女流作家、代表作が本書「ロウフィールド館の惨劇」(1977年発表)だが、他にも質の高い諸作を残しているという。ただ僕はこれまで読んだことはなく、多くの書評では本書を高く評価していたので…