新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

歴史・軍事史

反日原理主義の国

3月に韓国大統領選挙があるのだが、それを前にして与党・野党・もうひとつの野党の候補者が、暗闘を続けている。人気だった野党候補者は、内輪もめで選挙対策本部を解散させるし、与党候補者は「髪の毛の植毛」などと意味不明の政策を主張している。日本人…

不滅の内政・外交教本

「小さな政府」を標榜して、レーガン・サッチャー改革、日本では評判の悪い小泉・竹中改革を支持しておられるのが塩野七生さん。これまでにも何冊か著書を紹介しているが、本書は中世フィレンツェの政治家ニッコロ・マキャベリの遺した言葉を、著者の感性で…

この国の本質は「外華内貧」

韓国では来年の大統領選挙に向け、史上最も汚らしい選挙戦との揶揄される候補者間のけなし合いが続いている。国を二分する選挙戦なのは確かなのだが、なぜこんなことになるのか不思議な思いをして本棚から引っ張りだしたのが本書。 まだ韓国がOECDに加盟した…

帝国海軍の「歩」

光人社NF文庫の兵器入門シリーズ、今月は「小艦艇」である。俗に「歩のない将棋は負け将棋」というが、海軍の作戦遂行は戦闘艦だけでは行えない。さまざまな用途をこなす艦艇(必ずしも小さいとは限らない)の支えが必要だ。本書は、そんな目立たない艦艇を…

三民主議を目指した政治的軍人

先週、竹内実著「毛沢東」を紹介したが、本書はそのライバルだった国民政府総統蒋介石について、歴史探偵の一人保坂正康氏が記したもの。現在のホットスポットである、台湾海峡の緊張を産んだ人物でもある。 軍事史に詳しい松村劭元陸将補によれば、蒋介石率…

ダウニング街10番地、1941

太平洋戦争開戦前の日本の状況(2・26事件から東條内閣誕生等)については多くの著書があるし、米国の状況(ルーズベルトの不戦公約等)についてもいくつか資料はある。ヒトラーの戦争指導や日ソ不可侵条約などの他の関係国のことも、少しは読んである。しか…

習大人が真似ている男

共産党100周年式典に北京冬季五輪、着々と三期目を目指す習大人だが、彼が手本としているのが「毛沢東主席」。知っているつもりだったが、実際どんな人かは忘れてしまった。そこで古い(1989年発表)本だが、本書を引っ張り出してきて再読した。著者の竹内実…

ああ、特攻兵器

太平洋戦争を控えて、あるいはそれが起こってしまってから、米国に対し少なくとも1/10ほどしか国力のない日本としては、どんな手段を使ってでも戦局を有利に運ぼうとしてあがきまくった。まだ戦前は、本書の冒頭にある「水中直進弾」を開発し、軍機として秘…

陸軍主計大佐新庄健吉

太平洋戦争の開戦にあたり、米国への宣戦布告文書手交が真珠湾攻撃から1時間弱遅れたのは事実である。その理由としては、宣戦布告文書が在ワシントンDCの日本大使館に送られてきたものの、その翻訳とタイピングに時間がかかって手交時間に指定された現地時…

スペクタクル・ラブロマンス

戦争映画好きの僕だが、実際に映像ソフトとして購入したものは多くない。大半はBSチャンネルで録画できるからだ。しかし例外はあって、なぜかこのソフトだけは本棚に残っている。それは、2001年ディズニー系の映画会社タッチストーン・ピクチャーズ製作の「P…

帝国陸軍の「神」

光人社NF文庫の兵器入門シリーズ、今月は「砲兵」である。伝説のゲームデザイナーであるジェームス・ダニガンは、第二次世界大戦の記録を読み込んで、兵士の死傷者の多くは砲撃によるものだと結論付けた。よく戦争映画でライフルで敵兵を斃すシーンがあるが…

ジャーナリズムを鍛えるもの

本書の冒頭、「戦争を戦争として承認する役割を担っているのはジャーナリズムだ」とある。1991年の湾岸戦争後、イラク周辺では戦闘が続いていた。しかし2002年に(子)ブッシュ政権がサダム・フセインの息の根を止める決意をして再度侵攻するまでの間、そこ…

偽装・隠ぺい工作に挑む地方検事

昨年はミリタリー作家の柘植久慶が、ケネディ暗殺事件を暗殺者の視点でフィールドワークした「JFKを撃った男」を紹介している。本書はニューオーリンズの地方検事として、ケネディ暗殺事件の疑惑に執念で挑んだジム・ギャリソンが記したドキュメンタリーであ…

今、どの国にいると思っている?

「COVID-19」の感染拡大が、ロシアでは顕著だという。ワクチン接種も進まず、医療の逼迫は必然だ。加えて悪性のインフレが経済を襲い、石油・天然ガスの値上がりで景気が良くなるというわけでもなさそうだ。プーチン政権の危機という説もあるが、米国と並ぶ1…

HUMINT工作に学ぶ

2016年発表の本書は、元警視総監吉野準氏の手になる「HUMINT工作の教科書」。筆者は、 ・警視庁公安部参事官 ・警視庁警備局局長 ・ユーゴスラビア大使館書記官 ・内閣総理大臣秘書官 などを歴任していて、国内の防諜活動やテロ対策、海外における諜報機関と…

秀逸な8文字熟語

総選挙で「日本維新の会」が躍進し、憲法改正勢力が大きくなったと海外のメディアが伝えている。現に「維新」は来夏の参議院議員選挙までに憲法論議を進めたいと、政府与党に申し入れていると聞く。しかし現実は甘くあるまい。与党のうちでも公明党は消極的…

ドキュメント、2020年1~4月

本書は、在北京のNNN記者である宮崎紀秀氏が「COVID-19」感染初期の中国事情を、2020年6月の段階でまとめたもの。これまでに世界で2億5,000万人ほどが感染し、500万人以上が亡くなったとされる感染症の、 ・最初はどうだったのか? ・中国当局はどう反応し…

週刊新潮の右寄り連載

週刊誌を買ったことは、恐らく20年以上ない。読むのはほとんど空港のラウンジ、かつては理髪店の待ち時間というのもあったが、これも「QBハウス」の登場でなくなった。ラウンジでよく手に取ったのは「新潮」と「文春」、「朝日」と「毎日」は新聞っぽいのが…

歴史探偵の遺言

本書は今年初めに亡くなった「歴史探偵」半藤一利氏のあまたの著書から、エッセンスの部分を取り出して1冊にまとめたもの。筆者は少年期に太平洋戦争を経験し「進め一億火の玉だ」などという言説を信じていたが、終戦で価値観が一変することになった。 文芸…

コスパが良ければ整備する

2018年発表の本書は、池上彰氏による真相究明シリーズの「核兵器」編。ついに「核兵器禁止条約」は発効したのだが、実際に核兵器を持っている国は一切参加していない。「核拡散防止条例」というものもあり、原則として現在核兵器保有国以外は核兵器を持てな…

帝国陸軍のアキレス腱

第二次世界大戦後、米陸軍のある将軍は勝利に貢献した兵器として「ジープ・バズーカ・C47輸送機」を挙げた。M-4戦車も、P-51戦闘機も押しのけて、この3つが選ばれたのには理由がある。バズーカは歩兵の近接火力増強に資したし、他の2つは連絡・輸送などを…

まるで映画か小説のような

本書は以前「へんな兵器」を紹介した軍事史ライター広田厚司が、第二次世界大戦の嘘のような実話を集めたもの。11編の物語は欧州戦線・太平洋戦線と広く分布し、分野も多岐にわたるバラエティ豊かなものだ。軍事スリラー小説みたいだし、映画化してもいいよ…

海洋国家日本再生へ(後編)

本書の下巻には19世紀初頭のナポレオン戦争から、東西冷戦期までが記されている。大陸国家と海洋国家は、通常は同時に実現できない。ただ大陸国家が十分なシーパワーを持てれば、海洋国家に打ち勝つ機会はある。それより難しいことだが、海洋国家が十分なラ…

海洋国家日本再生へ(前編)

本書は僕が多くの軍事知識を貰うことができた、松村劭元陸将補著の海戦史。著者は陸上幕僚部、防衛研究所を経て陸上自衛隊西部方面部防衛部長で退官された、戦略・戦術研究、情報分析の専門家。数々の著書があり、以前「海から見た日本の防衛」「戦術と指揮…

ヴュルテンベルク王国の少尉候補生

1944年の今日は、「砂漠の狐」と呼ばれたドイツ陸軍のロンメル元帥が亡くなった日。先日見た映画「砂漠の鬼将軍」のラストのように、ヒトラー暗殺に関与したとして自殺を強いられた日である。2019年発表の本書は、非常に珍しい日本人の手になる欧州軍事史で…

ウクライナと琉球のケース

昨日「民族問題の世界地図」で、東南アジアから中近東までの民族紛争のタネを勉強した。本書(2017年発表)は元外務省分析官の佐藤優氏が、同志社大学で10回にわたって外交論を講義した内容から「民族問題」に関わる部分を抽出したもの。上記の書で語られな…

火種は20年まえから分かっていた

本書は、歴史家・評論家の高崎通浩氏が2002年に発表した「世界を知るデータブック」の1冊。東南アジアから中近東まで、インド・中国といった大国まで含めた民族・宗教の分布と紛争のタネを列挙したもの。少し古い本だが、20年程度では「火種の地図」に変更…

Mig-21 vs. F4C

ヴェトナム戦争というと、北ヴェトナム軍のゲリラ戦・米陸軍や海兵隊の死闘・村を焼き払うなどの残虐行為・降ってくる枯葉剤など地上の戦闘や悲劇ばかりが思い出される。米国はこの戦場で5万人以上の犠牲者を出し、以後大規模な地上戦闘を嫌うようになる。 …

大元帥の責任と権限

宮内庁は、24年余りの時間をかけて「昭和天皇実録」全61巻を編纂した。実は「明治天皇実録」も「大正天皇実録」もすでに編纂されている。ただ今回のものは、一般向けに全19巻に分けて出版されることになった。それに先立ち「歴史探偵」半藤先生はじめ4人の…

先鋭化された過激派集団

昨日「イスラム国の衝撃」をご紹介したのだが、引き続き同国の内情を掘り下げた書を読んでみた。筆者の黒井文太郎氏は、インテリジェンスに詳しい軍事ジャーナリスト。国家というより戦闘集団としての「イスラム国」を分析し、最終的に「彼らとの平和共存は…