2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧
2018年発表の本書は、昨年「デジタル庁」発足にあたり初代TOPに推されながら、過去の事件が蒸し返されて就任できなかった伊藤穰一氏(当時MITメディアラボ所長)が、メディアラボのアンドレー・ウール研究員と共著したもの。本書は技術論ではなく、一般市民…
光人社NF文庫の兵器入門シリーズ、今月は「潜水艦」である。すでに同文庫の「本当の潜水艦の戦い方:中村秀樹著」は紹介しているので、重複のないように第二次世界大戦までの日本と各国の潜水艦について記しておきたい。 隠密性が命の難しい艦種 - 新城彰の…
1936年と言えば「2・26事件」が勃発し、クーデターそのものは失敗に終わったものの以後軍政が強くなり、日本は日中戦争から太平洋戦争へと傾斜していったメルクマールの年だ。後世の評価ではもっぱら悪者は陸軍、「皇道派」と「統制派」の対立もあり、血なま…
何度か第二次世界大戦前後の航空機開発事情や、マイナーな航空機を特集した本を紹介している。今回は日本の戦闘機に絞って、しかも試作のみに終わるなどして空で戦うことができなかった機体を紹介したい。 制空権なきものは必ず敗れるわけで、制空の主役は戦…
1943年発表の本書は、アガサ・クリスティーの後継者とも言われたクリスチアナ・ブランドの第三作。1940~50年代に英国で代表的なパズラーと言えば彼女のことだと思う。ほぼ「Who done it?」を中心に据え「読者への挑戦」こそないものの、唯一の犯人を示すロ…
2017年発表の本書は、新右翼の理論家として「一水会」を立ち上げた鈴木邦男氏の「憲法論」である。著者は、最近はお見掛けしないが、TVの政治番組などでお馴染みの人。「朝まで生TV」などで話を聞くことがあり、短いフレーズでは「まあ、右翼だよね」と思わ…
本書はジャーナリストから国際政治学者になった松本利秋氏が、2005年に発表したもの。以前からその傾向はあったのだが、国家間紛争に正規軍ではなく「傭兵部隊」が進出してきていて、21世紀にそれが顕著だという。目立つのは米国の「テロとの戦い」、先ごろ…
2000年発表の本書は、昨年「ホワイトハウス・コネクション」までを紹介した、ジャック・ヒギンズの「ショーン・ディロンもの」。その続きがずっと見つからなかったのだが、ある日平塚のBook-offで見つけて即購入。前作同様、ディロンにファーガスン准将、バ…
昨日紹介した「サディーが死んだとき」から2作空けて、1974年に発表された「87分署シリーズ」が本書。これもボロボロの装丁で買ってきた。舞台は真夏のアイソラ(架空都市)、刑事部屋にはエアコンもなく扇風機が生ぬるい風を送ってくるだけ。この時期には…
本書も藤沢の古書店で見つけた「87分署シリーズ」の1冊、1972年発表のものでシリーズ26作目にあたる。作者のエド・マクベインはこのシリーズを「刑事群像もの」として書き続けていて、だれかひとりのヒーロー刑事を描くつもりはなかった。だから「麻薬密売…
しばらく前に、藤沢のBook-offの帰り道、昔ながらの古本屋の店頭に、エド・マクベインの「87分署シリーズ」で、ハヤカワミステリのカバーもないものを数冊見つけた。その中で未読のものが3冊あって買ってきたので、今日からそれをご紹介したい。 まず本書(…
本書は1955年の海洋冒険小説の巨匠、セシル・スコット・フォレスターの第二次世界大戦もの。作者はナポレオン時代の大英帝国海軍士官ホレイショ・ホーンブロワーもので、第二次世界大戦までに有名となった。しかし戦争が始まると、英国情報省に加わり海軍にも…
僕のビジネスは「Global & Digital」の追及なのだが、多くの法規がアナログ時代のまま放置され、その克服に苦しんできた。書面や印鑑を必須としたり、直接面談を求める法律の改訂はそれなりに進んでいるが、実は大きな壁となっているもののひとつが「著作権…
東野圭吾の「湯川学もの」の第二長編が本書。2006~2008年にかけて「オール読物」に連載された作品である。前作「容疑者Xの献身」の紹介時に述べたように、天才型名探偵を長編ミステリーで活躍させるのは難しい。前作では石神というもう一人の天才を相手方…
本書は昨年末「死者との誓い」を紹介したローレンス・ブロックの「マット・スカダーもの」。作者は1993年の「死者・・・」と1982年発表の本書で、PWA(米国私立探偵作家クラブ)賞を受賞している。「死者・・・」ではかつてアル中だったと回想するマットは、元娼婦…
大正時代というと、15年と短かったこともあり、華々しい明治と激動の昭和に挟まれて、あまり目立たない時代である。本書は歴史人口学の視点から、2人の研究者が大正時代を分析したものだ。歴史人口学(デモグラフィ)だから、拠って立つのは「人口動態」。…
本書(2006年発表)の冒頭、9・11以降のイラク・アフガン戦争を戦っている米国ブッシュ政権の支持率が低下していて、大統領は再三リンカーン大統領を引き合いに出して市民を鼓舞しているとの記事がある。本書の著者で国際報道のベテラン内田義雄氏は、米国の…
麻雀というのは、僕にとってはゲームだった。小学生のころから牌をいじり、高学年では牌を指(僕の場合は親指)で触って何かを知る「盲牌」という芸を身に着けていた。当然打つことも出来、大人に交じってジャラジャラやっていたものである。中学・高校でも…
<ニューオリンズ>という街が米国にあるが、その語源が「新しいオルレアン」だと聞いたのが、僕が最初に地名に興味を持ったきっかけ。まだ学生時代のことだった。その後ある文字が付いているところは、かつては沼で洪水が多いと不動産屋から聞いたこともあ…
本書は2017年発表、著者の楠木新という名前はペンネームだとある。大手保険会社を2015年に定年退職、現在は楠木ライフキャリア研究所代表。就職する時、さだまさしの「関白宣言」が流行っていたとあるから、僕と同世代の人。自らの研究所でもコンサルなどし…
孫子の兵法にこのような言葉がある。人類の歴史に戦争はつきもの、その始まりの頃から「戦いは騙し合い」だったということだ。これはサイバー戦争の時代となった今でも変わりはない。本書には詳しく語れば1冊の本になるエピソードが、多数詰め込まれている…
本書はアガサ・クリスティの手になる、いくつかの戯曲のうちでも最高とされるもの。1952年に初演されてから、20世紀中に2万回以上上演されたという。舞台はロンドンから50kmほど離れた田舎町、古民家を改装してマンクスウェル山荘という民泊を始めたモリー…
1930年前後の女王クリスティは、意外な犯人というテーマを追い求めていたように思う。「アクロイド殺害事件」や「オリエント急行の殺人」など古典的な名作も、その意識から生まれたと思う。この2作には探偵役としてエルキュール・ポアロが登場するが、レギ…
2007年発表の本書は、おおむね2000年以降の大国元首の外国訪問を例にとり、その場で出された料理とワインについてコメントしたものである。著者の西川恵氏は、毎日新聞の専門編集委員。各地の海外支局勤務を経て、外信部長になった人。「エリゼ宮の食卓」な…
以前「CSI:科学捜査班」のラスベガスシリーズをご紹介しているが、「CSI」にはスピンオフとしてマイアミとニューヨークがある。本書は、そのニューヨーク版のノベライゼーション。一流作家にTVドラマとしてのCSIのシチュエーションだけ使わせ、自由にミステ…
本書の著者平間洋一氏は、海上自衛隊で「ちとせ」艦長なども務めた人。防衛大学校教授・図書館長などを経た歴史・軍事史の専門家である。2000年発表と少し古い本だが、21世紀日本の外交スタンスはどうあるべきが書かれていて、今に至るも(至ったからこそ)…
1984年発表の本書はW・L・デアンドリアの第6作、巨大TV局<ネットワーク>のもめごと処理担当副社長マット・コブが登場するシリーズとしては第4作にあたる。前作で自身の故郷に出かけて事件を解決したマットだが、本書ではホームグラウンドのニューヨークで…
第一次世界大戦に敗れ、海軍の艦船保有に制限を設けられることになったワイマール共和国だが、シェットランド沖海戦に臨んだような大艦隊を夢見る人は多かった。当時世界最大の海軍だった大英帝国の主力艦隊を正々堂々迎え撃ち、ほぼ引き分けの結果を得たこ…