新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治家たちはどう考えたか

 昨日「Brexit」を巡る2016年の国民投票について、労働者たちはどう考えて投票したか、その背景を「地べたからの解説」してくれる書を紹介した。最大の関心事は移民問題だが、移民が憎いというよりもキャメロン政権の極度な緊縮財政で公共サービスが減り、減ったものを移民が持っていくという不満が現れた結果だと説明していた。

 

 本書はその2年後、以前「イギリス解体、EU崩落、ロシア台頭」を紹介した産経新聞前ロンドン支局長が2019年に発表したもの。主な論点は「合意なき離脱」の行方や影響なのだが、上記国民投票の前後に英国の政治家たちは何を考え、どう行動したかが紹介してある。

 

 緊縮財政で不評なキャメロン・オズボーン政権だが、一時期はユーロ危機もあって欧州経済が停滞した時期英国の経済が良くなって人気を博していたっこともある。しかしさらに緊縮を強めた結果、白人労働者層は自らを移民以下の最下層民とされたと被害者意識を高めた。しかし多くの政治家はそれを認識せず、国民投票で「離脱」になるとは考えていなかった。政権だけでなく「離脱」を掲げる英国独立党のファラージ党首や強硬派のボリス・ジョンソン現首相もである。

 

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 しかし僅差で「離脱」が決まると、自らは残留派のメイ議員が首相となってEUとの協議を始める。彼女は民意を「移民を抑える事」と考え、単一市場は残しながら移民制限をしようと思った。これにはEU側が反発「ヒト・モノ・カネ・サービス」は一体、いいとこどりは許さないとした。EUEUで、ポンド維持・シェンゲン協定にも入らない勝手な英国に、これ以上好きにされたら他にも離脱国が出るから譲れない。

 

 英国でも投票後移民は減り始め、離脱の意味が変ってきた。政治家たちは「欧州の押し付けルール打破」に目的をすり替えようとする。「合意なき離脱」の是非など議論するのだが、上記労働者たちは「緊縮財政をやめ公共サービスを充実してくれ」と思っているのだからズレがある。

 

 田舎町の労働者にはグローバル化の恩恵は少なく、デメリットが目立つ。しかし王族の遠縁にもあたるキャメロン氏を始め、多くの政治家はEUがだめなら米英FTA、あるいはTPP11とグローバル化を追求する。民意を汲めていないし、彼らにグロバルかのメリットも説明できていない。

 

 続けて2冊読んでみると、病根ははっきりしますね。日本政府は民意を汲めているのでしょうか?