新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

もう2年も経ったのかと・・・

 本書は日経編集委員、「ワールドビジネスサテライトWBS)」MCである滝田洋一氏が、2020年1~4月の世界の「COVID-19」対応をレポートしたもの。WBSのアカウントでのその時々のツイートが、数多く引用されている。

 

 今も米国では毎日50万人の新規感染者が出ているが、英国始め各国はマスク着用義務などの規制を全廃し始めている。一方中国では一部都市の大規模封鎖を始めたともいう。本書のレポート時期から2年が経ち、世界は「With COVID-19」の時代を迎えている。今、わずか2年前の感染拡大初期のことを思い出すのもいいだろうと、本書を買ってきた。

 

 2019年のうちから、新しい呼吸器疾患をもたらす感染症が中国で流行り始めたとの報道はあった。それが新型のコロナウイルスによるものと特定され、武漢で最初の死者が出たのが1月半ば。中国当局は旧年中に感染拡大の兆候を認識していながら、隠ぺいしていた可能性が高い。武漢に最高度「レベル4」のウイルス(実態は生物・化学兵器)研究所があったことから、ウイルス兵器の流出説も出た。

 

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 各国はこの時点では中国との往来を「水際対策」のため封鎖はせず、中国人労働者にブランド品生産を依存していたイタリア北部から欧州に感染が広がり始める。日本も当初はオリンピックを控え、習大人を国賓として招く予定もあって中国との往来を途絶していなかった。春節時期のインバウンド需要に期待していたこともある。しかし<ダイヤモンド・プリンセス号>で大量の感染者が出、日本各地に広がっていくと、政府の対応は後手後手に回った。

 

 米国でもトランプ大統領が「ただの風邪だ」と言っているうちは良かったが、欧州含めてアジア各国より死者の比率が高い状況に陥る。トランプ大統領は「中国ウイルス」と呼び「これは戦争だ」と叫んで、自分は戦時の大統領だと胸を張る。結局、

 

・世界が中国依存から脱却しようとする。

・WHO含む国際機関の無力さが露呈する。

・国家間、人種間などの分断が助長され、格差が拡大する。

 

 ことになる。先進各国は緊急事態宣言と財政出動を繰り返し、社会全体の不安・不満は高まった。その中で、政治の重要性と政治家の実力が透けて見えてきた。この時点では、2年もこの状態が続くとは誰も思っていなかったようです。あの時の事を思い出させてくれる書でした。