新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

少子化日本の処方箋(前編)

 今日明日と、ジャーナリスト河合雅司氏の少子化日本の処方箋「未来の年表」を紹介したい。「日本でこれから起きること」と副題された第一作が2017年に、「日本であなたに起きること」という第二作が2018年に出版されている。

 

 どちらも前半は「起きること」なので、ホラーものである。第一作に曰く、

 

・2021年、団塊世代の高齢化で団塊ジュニアの介護離職が増える

・2026年、認知症患者が700万人を超える

・2030年、地方から百貨店、銀行、老人ホームも消える

・2040年、自治体の半数が消滅危機に直面する

 

 とある。「それはわかったけど、俺には何が起きるか」という問い合わせが多く、第二作で筆者は、

 

・伴侶を亡くすと、自宅が凶器と化す

・タワマンは天空の老人ホームになる

・老後資金が貯められず、貧乏定年が増大

・中小企業は、後継者不足で黒字でも倒産

・山林に手が入らず、土砂災害が多発

 

 などと、具体的なリスクを示した。

 

        

 

 2作合わせて300ページにも及ぶ「ホラー話」は、多少の誇張はあるにせようなずけるもの。少子高齢化について、これまで政界・官界・財界は4つの対処法があると言ってきた。筆者はその4つに、限界があると指摘する。

 

1)移民

 子だくさんの移民を毎年20万人入れれば、2070年の1億人をボトムに人口は回復する。受け入れなければ、2110年には4,000万人ほどに日本人は減ってしまう。半分ほどが移民という国に、果たして舵が切れるか。

 

2)AI

 人間を凌駕し十分に代替できる機械(AI)が、本当に出来るかは不透明。加えて「AIが仕事を奪う」などの反発も予想される。

 

3)女性

 女性の社会進出が進めば、特殊出生率が下がるのも確か。痛しかゆしの対策。

 

4)高齢者

 まだ働ける若い高齢者(!)の活用は重要だが、働けない高齢者の増加も著しい。

 

 筆者は、そこで5番目の策として、10の政府が行うべき政策を提案している。

 

<続く>