本書は、2023年2月に出版されたばかりの本。有名な投資家ジム・ロジャーズが日本と日本人に送るアドバイスである。帯裏には6つの難題が示してあって、
・日本円は捨てられる
・膨大な負債で日本は沈没
・金利上昇と円安がトドメ
・インフレで競争力低下
・食糧自給率も伸びず
・人口減少、高齢化で国力減
なのだが、投資家に教えてもらうことではない。そんなわけで前半は面白くないのだが、ではどうすべきかについては意味はある。まず日本人は、
・税金や事業コストの高さを嫌って海外に雄飛せよ
・国内に残るなら、自らに合った職業を早く見つけよ
とあって、ある書で読んだ「移動できる人とそうでない人の格差」が強調されている。資産防衛については、
・米国株式も、不動産投資もNG
・コモデティとしての銅や鉛が魅力的
とある。10歳の日本人なら、日本を出て別の言語を学ぶことだ。間違っても「政府のために働いてはいけない」。40歳の日本人なら、自己防衛に務めよ。30年後には治安が悪化し、暴動が当たり前の国になる。65歳なら、寿命は全うできよう。しかし政府の言いなりにならず、好きなことに注力すべし。
では日本はどうすべきか?チャンスがあるのが以下の3つの産業だという。
・観光業、円安が追い風、英語等での情報発信と外国人との交流をいとわなければ
・農業、移民の受け入れと補助金漬けの政策を改め、規制緩和をすれば
・教育、外国人留学生を増やし、彼らに日本に貢献してもらえば
投資家としての、面白い国際情勢判断がいくつかありました。
・米国は戦争をしたくて仕方ない国、決して米中戦争に巻き込まれるな
・韓国は38度線が開けば、少子化問題は解決し発展する
・日中韓は(米国を外して)連携を密にすべきだ
筆者は、もう欧米は終わった国だと見ているようです。