新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

外国人記者の25の「なぜ?」

 2022年発表の本書は、何度か政治・経済書を紹介しているWebメディア<クーリエ・ジャポン>の記事を集めたもの。主に2021年に公開された記事が取り上げられている。今回のテーマは「外国人記者の日本についての疑問」である。例えば、

 

・ハイテク国なのにFAXを止められない理由

・政治家に世襲が多い理由

外国人労働者が日本で働く苦悩

・女性皇族が不当に扱われる理由

 

 のような項目が25挙げられている。冒頭、東京オリンピックの柔道団体戦で、銀メダルを獲った日本チームが涙ながらに謝罪するのを外国人は不思議に思ったとある。欧米のアスリートなら「頑張った。良い成績」と誇るところなのに・・・。

 

        

 

 日本人の生態を良く表しているのがサラリーマンということで、これに関する不思議が多い。居眠りが勤勉の証で、全てを会社に捧げているが生産性は低い。年功序列で「年寄りほど偉い」から、どの業界でも70~80歳代に支配されがちだとある。

 

 面白かったのは「日本ではなぜポピュリズムが台頭しない」。最もポピュリスト的だった首相は小泉純一郎だとある。それでも欧米のポピュリスト政治家と比べれば、極めてソフト。思想の近い仲間だけでなく、全国民に呼びかけていた。日本には地方政治にはポピュリストが出る(橋下徹小池百合子らの名前がある)が、全国的にはポピュリストを受け入れる素地がない。トランプ首相の出る可能性は全くないとの意見だ。

 

 その理由は、日本に本当の新自由主義が蔓延しなかったことだとある。この説によれば日本の新自由主義政党は維新の会くらいで、ポピュリズム政党も存在しない。なるほど、維新の会が勢力を伸ばせば、その後れいわ新選組などが台頭するということか。昨日れいわの大石議員の「維新ぎらい」を紹介したのだが「れいわ伸長のためにはまず維新が伸びなくては」というのは逆説的である。ちなみに本書には、れいわのことは一切書かれていない。

 

 おおむね記事の主張はそうだなと思うのですが、僕の目からは20年以上前の日本のことを書いておられるような気がします。

 

PS:デジタル社会を巡る国際情勢や課題(サイバーセキュリティ等)については、今年度本名で開設した公式ブログでも発信していきます。こちらもご愛顧ください。

梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)