2017年発表の本書は、<スワガーもの>を書き続けるスティーヴン・ハンターの「スナイパーの誇り」に続く作品。前作ではWWⅡのソ連軍の女スナイパーの謎を追ったボブ・リー・スワガー、今回は自分の祖父チャールズ・F・スワガーが記録から消された謎に挑む。
ボブの父アールと叔父ボビーの父親であるチャールズは、WWⅠの英雄。2度目覚ましい働きをして、戦後は警官をしていた。1934年にはポーク郡の保安官だったが、司法省捜査局に誘われる。この組織は州をまたがる犯罪を担当するもので、翌年FBIと改称された。この年は大恐慌の余波で治安が乱れ、多くの凶盗が跋扈していた。チャールズは3人組の銀行強盗を一人で倒し、今また有名な盗賊ボニー&クライドも射殺した。ところが、それ以降彼の記録は消えてしまった。
71歳になったボブのもとに、工事中に見つかった金庫の中味が届けられる。
・整備されたコルト.45口径
・司法省捜査局のバッジ
・未使用の千ドル札
・何らかの銃器の部品
バッジが1934年にしか使用されておらず、コルトの製造番号からチャールズがこの金庫の持ち主ではないかというのだ。ボブは、過去の事件を調べ始める。その活動と、チャールズの盗賊との闘いが並行して語られる。
チャールズはコルト拳銃で130m離れた賊を撃退し、ついには凶盗デリンジャーも仕留める。しかし、まだ最後の大物レスとヘレンの夫婦、その部下のJ・Pが逃げ延びていた。彼らを追う官憲に、なぜかシカゴマフィアが情報をもたらしてくる。チャールズはついにレスたちを追い詰めるのだが・・・。
ボブはJ・Pが残したとされる文書を手に入れ、祖父の残した銃やカネの謎を追う。シリーズ全体を貫くのは、作者の銃器愛。本書ではコルトガバメント、トミーガン、BARの3種が出てくる(*1)。題名の「G」はガバメントのこと、連邦警察官とコルト拳銃の掛詞のように思いました。
*1:いずれもTVドラマ「Combat!」でお馴染み