新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

犯罪小説

プライバシー危機、2014(後編)

シンシアはロンドン在住、物語の前半はイギリスで展開するが、ゼロの一人と思しき男がウィーンのWiFiスポットで確認され、シンシアはITに詳しいインド人チャンダーと現地へ向かう。ウィーンの地下水道でゼロのひとりと接触したシンシアは、フリーミー…

プライバシー危機、2014(前編)

僕は日EU政策対話などを通じて、欧州の個人情報保護についていろいろ議論を重ねてきた。欧州各国(全部ではない)のプライバシー保護に関する意識の高さに病的なほどだと驚いた。意識というよりは危機感であって、かつてナチスに支配された国で特に顕著だ…

切り裂きジャック事件の新解釈

1988年ロンドンのイーストエンドの一角で、娼婦が次々に殺される事件が発生した。顔を切り刻んだり内臓を取り出して並べたり、凄惨な連続殺人事件である。人々はこの犯人を「切り裂きジャック」と呼んで恐れた。結局3カ月足らずの間に少なくとも5名の被害…

ドイツの犯罪文学

ドイツのミステリーというのは、過去に1冊しか読んだことがない。ただ最近は、創元社などが少しづつ翻訳して出版している。本屋大賞というものがあって、ある意味書店のキャンペーンのようなものだが、翻訳小説部門があるのを初めて知った。本書は、2012年…

寡作の鬼才

アイラ・レヴィンという作家がいる。足掛け50年間に、7作しか書かなかった。恐らく日本では、そのうちの2作しか知られていないだろう。 ・死の接吻 A Kiss Before Dying 1952年 ・ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby 1967年 しかし、この2作とも尋…