このところの文政権を見ていると、ほとんど北朝鮮の属国ではないかと思えることもある。あるメディアは、文大統領を正恩クンのスポークスマンさと揶揄したし、あのトランプ先生までその言動に苦言を呈している。慰安婦・徴用工・旭日旗など、日本政府や国民の感情を逆なですることばかり持ち出している。
本書にあるように、竣工する軍艦に安重根(潜水艦)や独島(強襲揚陸艦)のような、日本を刺激するような名前を付けることも平気でする。これに対して、日本は「たけしま」という名前の軍艦ももっていないのにである。20XX年、国家運営に行き詰まった北朝鮮は「南朝鮮と日本の離反」を画策し、韓国代表団を日本人の仕業に見せかけて襲うなど両国間に不和のタネをまき散らす。激高した両国国民の感情に最初に反応したのは韓国政府、日韓の戦力分析をして奇襲による軍事行動を画策する。
そもそも韓国は北朝鮮とは休戦、つまり戦時状態にある。ただ空軍・海軍は北朝鮮を相手取るには過大なものを持っている。特に海軍の仮想敵は日本と言ってもいいほどの充実ぶりだ。現実に今年には、自衛隊の哨戒機に韓国海軍の駆逐艦が射撃用レーダーを照射する事件も起きている。
「日本軍」は、陸海空バランスのとれた軍備で、近代化された装備と米軍との訓練などで鍛え上げられた組織である。しかし国内法の制約や軍司法の欠如、反戦市民の意見を過大に配慮することから即応能力が極めて低い。奇襲を受けても中央の判断なしでは実弾1発兵士に渡せないほどだ。その中央も、実践経験もなく野党政治家などに配慮して反応は鈍い。開戦を決意した韓国軍は、対馬と福江島(五島列島)のレーダーサイトを破壊し海兵隊を上陸させる。守備兵は文字通り1発も撃つことなく制圧され、警察力では対応できない。
ここから後は、元自衛官の筆者が想定する「日韓戦争」のありそうな展開が描かれる。市民や政治家の理解を得て体制を立て直した「日本軍」は、対馬・福江島には現地の人を守るだけの戦力を送り、主攻は「独島」に向けた。かねてから日本の領土と主張しているだけに、日本の野党や憲法学者も海外侵略だとの文句は言えない。
一方「独島」のヘリポートや岸壁を破壊されて守備隊を孤立させられた韓国では市民が激高、直ちに救援せよとの世論が巻き起こる。韓国海空軍は、みすみす罠とわかっていながら準備不足のまま「独島」救援に行かざるを得ない。早期警戒機の情報により(手ぐすね引いて)待ち構えていた潜水艦、イージス艦、ミサイル艇によって韓国軍は大打撃を受け撃退される。