新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

BEM(bug Eyed Monster)との闘い

 SF(Science Fiction)は、子供の頃こそ好きだったような気がする。それも書籍ではなく、TVドラマとして。「宇宙家族ロビンソン」や「サンダーバード」は大好きだった。中学生になると、「Star Trek」以外のSFものは見なくなった。もっぱら、謎解き本格探偵小説を読みふけっていたからだ。

 
 大学生になって読むべき本格探偵小説は(手にはいるものは)おおむね読みつくしてしまい、ハードボイルド、スパイもの、サスペンスものも含めて広義のミステリーを読んでいた。そこでミステリーとSFの境のような作家(例:アイザック・アシモフ)にも出会い、ミステリー100選にも選ばれるようなSFから少しづつこの世界にも入っていった。

        f:id:nicky-akira:20190415213620p:plain

 
 ただし、俗に「ハードSF」と呼ばれるものは好まなかった。100本脚のムカデのようなエイリアンが住む100Gの重力がある惑星での冒険・・・などというものはどうしてもイメージが湧かなかったからだ。仮に、そのムカデ型生命体が知的水準の高いものであっても。
 
 本書も、そんな時代に「読まず嫌い」で敬遠してきた1冊である。1950年発表でSF史においては古典のひとつに数えられ、A・E・ヴァン・ヴォークトの代表作でもある。「Star Trek」同様、科学者を満載して長期の宇宙探査任務を受けた宇宙船ビーグル号が遭遇する危機を描いたものだ。
 
 実質4つの中編をつなぎ合わせた構成で、4種類のエイリアンが登場する。後年高千穂遥ダーティペアシリーズにも登場するネコ型BEM、人の心を支配できる鳥型BEM、4本腕/4本脚の赤鬼型BEM、宇宙塵に見える星系を覆うほど巨大なBEM。
 
 ビーグル号の科学者で総合科学部長のエリオットは、周囲の反対を押し切って思い切った手を打ちこれらのBEMから宇宙船を守るのである。BEMそのものとの闘いはあっさりしたものだが、その対処方針の議論や準備段階で科学者同士の、時にはアカデミックな時にはエゴイスティックなコンフリクトが見られる。ヴァン・ヴォークトが描きたかったのは、実はこのコンフリクトかもしれない。
 
 SFマニアには笑われそうですが、なるほどこれがSFの古典かというのが読後の感想。これからは、もっとジャンルを拡げて読書することにします。