新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ドキュメント、2020年1~4月

 本書は、在北京のNNN記者である宮崎紀秀氏が「COVID-19」感染初期の中国事情を、2020年6月の段階でまとめたもの。これまでに世界で2億5,000万人ほどが感染し、500万人以上が亡くなったとされる感染症の、

 

・最初はどうだったのか?

中国当局はどう反応したのか?

・市民はどのように当局の規制に対して声を上げたのか?

 

 などがまとめられている。

 

 2019年末、湖北省武漢ではすでに奇妙な肺炎が流行し始めていた。武漢市の衛生当局は大晦日にHPで「新しい肺炎」の情報を流している。年明けになって患者は徐々に増え、死者も出始めた。しかし「ヒト・ヒト感染をするとの情報はない」として、感染防止対策は採られなかった。

 

 独裁者(筆者)である習大人のところにまで情報が上がり、大人が「絶対に感染症の萬栄を食い止めなくては」と重要指示をだしたのは、1月20日になっていた。それまでの間に「春節」を祝う人たちは数万人規模の宴会をしたり、遠距離の里帰りを始めていた。23日に武漢がロックダウンされたのだが、蔓延防止には手遅れだった。

 

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 武漢には中国でも最高のレベル4の生物兵器研究施設があり、「COVID-19」ウイルスのルーツは生物兵器の漏洩とする疑惑は今も残る。しかし海鮮・食肉市場が発生源とされ(後に米国が持ち込んだとの説も出てくる)、関係者には箝口令が布かれた。感染防御をしないで診察・治療にあたっていた医療関係者に犠牲者が増えたが、その実数は不明のままだ。

 

 さらにネット上に動画含めた情報を流していた人、医師あるいはジャーナリストとして情報発信をした人の多くが、死んだり行方不明になった。UPされたデータも数時間のうちに消されたとある。中央政府の締め付けは、湖北省武漢市の幹部の馘首や各都市のロックダウンに留まらず、ちょっとでも指示に反した場合は厳罰が与えられた。

 

 さらに外交面では、トランプ政権が「中国ウイルス」と呼んだことに激高、ある意味米中対立激化の大きな要素になった。中国政府の対応に一点の曇りもなく、外国がとやかく言う話ではないと切って捨てた。しかし国内では非常に慎重な対処をしていて、ひとり感染者が出るとその地域全体を封鎖した。個人のスマホに「健康コード」を収めさせ、随時チェックもした。

 

 僕が知りたいのは、やはり武漢のレベル4研究所のこと。それがわかるのはいつになりますかね。