新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

スペクタクル・ラブロマンス

 戦争映画好きの僕だが、実際に映像ソフトとして購入したものは多くない。大半はBSチャンネルで録画できるからだ。しかし例外はあって、なぜかこのソフトだけは本棚に残っている。それは、2001年ディズニー系の映画会社タッチストーン・ピクチャーズ製作の「Pearl Harbor」。

 

 1941年12月の真珠湾攻撃を扱った映画としては、「Tora! Tora! Tora!」(1970)があって、日米両軍の動きをほぼ均等に描いていた。しかし本作は米側の、特に3人の若者に絞ったラブロマンスとも言える作品で、日本軍の扱いについては「The Final Countdown」(1980)に近いほど奇妙なものになっている。

 

 飛行機好きで育った2人の青年、レイフとダニーは共に陸軍航空隊に志願し戦闘機パイロットとなる。2人は任地で美しい看護師イヴリンと出会い、レイフと彼女は恋に落ちる。しかしレイフは英国の戦いに加わることになり、ダニーとイヴリンはハワイで再会し、3人は三角関係に悩むことになる。英国からレイフもハワイにやってきたのだが、そこに南雲機動部隊の戦爆連合が襲い掛かった。

 

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 前2作では、T-6テキサン練習機やバルティBT-13で零戦97艦攻の代演をさせていたのだが、本作ではCGがふんだんに使われて空を覆う日本軍機を表わしている。戦艦アリゾナの爆沈・戦艦オクラホマの転覆シーンなどは素晴らしいスペクタクルだ。魚雷や爆弾が艦艇を襲う場面の演出も凄い。

 

 また、レイフとダニーの2人がP-40を駆って零戦数機を撃破する空中戦もリアルだ。一方で日本軍機がイヴリンが負傷者救護をしている病院や、洋上を泳いで逃げている兵士たちを銃撃するシーンが延々続くのは、史実とも違うし徒に日本軍の残虐さを強調しているように見える。そんなもの撃つ弾丸があれば、滑走路上に眠っている軍用機を掃射するだろうから。

 

 さらに真珠湾攻撃で映画は終わらず、レイフとダニーがパイロットとしてB-25に乗って日本爆撃に向かう「ドゥーリトル作戦」までが描かれる。やられっぱなしではいやだということだろうが、優秀な戦闘機パイロットを勝手の違う爆撃機に乗せて空母から発艦させるなど、あまり常識的ではない。

 

 僕から見ればラブロマンス部分は不要、スペクタクルをもっともっとと思い続けた映画でした。特典映像込みで3時間の長編を見て、ちょっと疲れましたけどね。