新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

勇気は出るけど、蛮勇かも

 昨日別ブログで、ニューオータニでの「正論大賞授賞式」に参加したことを書いた。僕が早々に引き揚げてから、岸田総理もお出でになったらしい。なかなか政治力のある月刊誌ということだ。その時、引き出物としてもらったのが本書。大賞受賞の織田元空将と、新風賞受賞のNTT松原さんの記念論文が掲載されている。

 

 新聞の広告欄に載っている見出しは見たことがあるが、この月刊誌そのものを読むのは初めて。冒頭カラーで5ページ、皇室関係の写真が並んでいる。巻頭特集は「有事に備える」で、昨年末紹介した「令和の国防」と「歴史の教訓」の著者兼原氏の対談記事から始まる。

 

        

 

 ウクライナ紛争や米中対立を見れば、自衛隊が闘わない存在であった時代の終わりは明らかだ。だから僕も改めて勉強し始めたので、この特集の意義は理解できる。元陸上幕僚長と前防衛事務次官の対談「全省庁挙げて安保戦略に魂入れろ」までは共感できる。しかし読み進むうち、徐々に違和感を覚えた。もう一つの特集が「メディアが伝えないこと」で、LGBT法案などに関連した意見の中には眉を顰めるような内容もあった。

 

 左寄りである毎日新聞を糾弾する記事が、すでに5回目の連載になっているのも驚きだ。3つ目の特集「人口を増やすには」では、移民についての論考がまるきりない。最後の特集「世界一寸先は闇」は米中露と朝鮮半島の時事で、勉強にはなるがスタンスは「だから備えなくてはならない」に導きたいだけにも見える。大賞受賞記念論文のテーマが核抑止で、これまでタブーだった「持たず・作らず・持ち込ませず」も論じようというもの。全体として、これまで抑圧されてきた人たちに勇気を与えようという意図が見える。当然だが<赤旗>の記事とは真逆。

 

 僕もタブーなき議論が歓迎しますが、与えられた勇気が「蛮勇」に堕すことは無いようにお願いしたいですね。