新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

「言論TV」の内容を集大成して

 先日「正論大賞授賞式」でお見かけしたジャーナリスト櫻井よしこ氏は、10年あまりインターネット動画サイト「言論TV」のキャスターも務めている。本書は2021~22年にかけて、高市議員を招いて対談した内容を書籍化したもの(出版は2022年)。

 

 高市議員は安倍元総理亡き後、自民党でも最右翼と言われる政治家だが、デジタル系の知識は他の議員よりも深い。以前、自民党総裁選出馬にあたって出版した「美しく、強く、成長する国へ」を紹介している。

 

主張の9割に異論はなく - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

        

 

 「言論TV」の出演は、この書を出してから少し経っている(総裁選敗北話が出てくる)からか、キャスターとの相乗効果なのか前著より主張が先鋭化されているように見える。ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾への圧力などがアクセルとなって、日本の安全保障意識が高まっている。だから、主張の多くに理解を示しながらも、僕は以下の点についてもう少し深い議論が必要だと思う。

 

憲法21条通信の秘密によって、サイバー攻撃に脆弱になり、反撃もままならない

自衛隊が電波妨害に対する訓練をしようとしたが、総務省が電波法を盾に許可しない

・捜査機関が被疑者のデバイスマルウェアを仕込んで証拠を求めるのも不正アクセス禁止法が立ちはだかる

 

 もっぱら主敵は総務省(特に旧郵政省)に見えるが、総務大臣を何度もされていたのに・・・とも思う。お二人の舌鋒は、防衛費増を渋る財務省、対中露に弱腰な外務省にも向けられる。技術開発は軍民融合の時代になっているのに、大学のTOPが軍事研究だからと拒否する。これは文科省というより日本学術会議のせいだから解散させよとある。

 

 政治家も、岸田総理こそややマイルドにあつかっているものの、林外相などは一刀両断の風情だ。主張は理解できるものの、ちょっと踏み越えてしまった書という印象でした。タイトルもひどいですね。野党含めハト派のことなど、ほとんど触れておられません。