新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

DATA Science in WWⅡ

 1994年発表の本書は、伝説のゲームデザイナー、ジェームズ・F・ダニガンが、アルバート・A・ノーフィーと一緒に書いた「WWⅡ雑記帳」。戦史として遺されなかった細かなことや、都合の悪いこと、統計が示す厳然たる事実などを紹介している。ゲームデザインのためにも、筆者たちは数字で見たWWⅡを調べつくした。その結果を学問的にまとめたものが「戦争のためのテクノロジーもの」。

 

人を殺すための予算 - Cyber NINJA Archives (hatenadiary.com)

 

        

 

 いわば「DATA Science in War」である。本書は、より多くの人に分かりやすくWWⅡの実態を示してくれる。例えば、

 

・対空火器は、1機を撃墜するのに1万発以上撃たないといけない

・B17は4トンの爆弾を運ぶのに、11トンもの燃料も積んだ。対空機銃弾も1.3トン

・「カミカゼ」は、護衛空母3隻を含む83隻を撃沈、350隻を損傷させた

・イタリアは自動車が普及せず、機械化師団を持てなかった

 (米国は4人に1台、ドイツは40人に1台、イタリアは130人に1台)

ソ連では約3,000万人が死んだ。兵士の死亡率は米国の100倍

・ドイツの息の根を止めたのは燃料不足、ピークでも米国の20分の1だった

・米国兵士を遠征させると、まず11トン(1人あたり)を送り、毎月1トンが必要

・世界最大の船舶保有組織は、米国陸軍。海軍の1.5万隻に対し、11万隻も持っていた

 

 という具合。性病罹患率や殺人・強姦などでの軍法会議のことも出てくる。面白かったのは、戦後のウクライナの民族紛争。ウクライナ人が武装蜂起したのを、スターリンが平定するのに数年を要した。プーチン先生がウクライナ人を「ナチ」呼ばわりするのは、その辺りにルーツがあるのかもしれない。

 

 ゲームの神様のデータ本、大事にしていますよ。