本書(全6巻)は、ご存じ「大鑑巨砲作家」横山信義の架空戦記。新刊で買うのはもったいない(ゴメンね)ので、Book-offの100円コーナーで見かけるたびに買って6冊を揃え、この夏休みにまとめて読んでみた。
始まりは1942年4月のドゥーリトル空襲。史実では被害は大したことなかったものの、陛下の宮城を危うくしたとの衝撃が軍部に走り、ミッドウェー作戦につながる。しかし本書では、偶然これを探知し迎撃して空母<ホーネット>も沈めることができた。その結果、続く珊瑚海海戦で辛勝した日本軍は、ニューギニア島の要衝ポートモレスビーを占領し、オーストラリアに脅威を与えるようになる。
大きな国土と豊かな資源を持つ国だが、人口は少ない。主要な都市は東海岸沿いにあり、日本海軍の攻撃には脆弱だ。オーストラリアを守るため、米軍は北太平洋ではなく南太平洋での決戦を迫られる。
日本軍が有利になるような作者の細かな仕掛けが、初巻から随所に見られる。米軍の新鋭戦艦<ノースカロライナ>は、ポートモレスビー防御戦に登場するも<陸奥>と撃ち合って沈む。大破した<陸奥>は空母に改装される・・・と言う次第。
オーストラリア防衛戦には、米軍だけでなく英軍も参戦する。お約束の戦艦砲戦には、<キングジョージ5世>対<大和>のような対決もある。英米の艦隊を何度も退ける日本艦隊だが、エセックス&インデペンデンス級空母や、新鋭艦載機が量産されてくると守勢に回らざるを得ない。それでも小沢艦隊司令長官は、奇策を持って米軍を翻弄する。
作者は、よく特定の艦種を主人公にしてシリーズを書く。例えば<シャルンホルスト級>を取り上げたのが下記。
米国vs.全世界の大海戦 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)