新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

日本版CSI番組の劇場版

 本書は、TV朝日・東映系ですでにシーズン22まで続いている科学捜査ドラマ「科捜研の女」の、劇場版のノベライゼーション。映画(科捜研の女~劇場版)は2020年のシーズン20の最終回で制作が発表され、一昨年封切られている。

 

 何作か紹介しているが米国CBS系の人気ドラマ「CSI」の日本版とも言うべき作品だが、僕自身はドラマは見ていない。それにしても、「NCIS」のシーズン20を上回る長寿番組というのは驚きだ。

 

 京都府科学捜査研究所の法医学研究員榊マリコと仲間たちが活躍するミステリーで、劇場版では「助けてくれ殺される!」と叫びながら墜死した医学部教授と歯学部准教授がいて、いずれも周辺に犯人の姿がないという怪奇な幕開けとなる。2人には、専門がウイルス学、咥内細菌学であるという共通点しかなかった。

 

        

 

 しかし捜査の過程で、いずれも八王子の大学教授にコンタクトしていたことが分かる。この教授が研究しているのは「ダイエット菌」、誰もが持っている腸内細菌だが、使い方によっては劇的なダイエットが可能だという。マリコ京都府警の土門刑事は、この大学研究室が怪しいと睨むのだが、全く証拠がない。2人は非常手段で真犯人をあぶりだそうとする。

 

 売り物の科学捜査は、映像ほど文字からはイメージが湧かない。ノベライズも脚本をそのまま書き下したようで味気ない。ただ、巻末の脚本家櫻井武晴と作家法月綸太郎の対談は面白かった。それによると、脚本家はシーズン4から参加、もうひとりと分担して脚本を書いているという。

 

 「NCIS」では5名ほどの脚本担当がいるのに、2人とは驚きだ。また着想をどう仕入れるかという法月の問いには「ミステリーは読みません。科学論文を読んで、使えそうなネタを探します」と応えている。

 

 なるほどとは思いましたが、海外ドラマほどの感慨はありませんね。いつまでも美しい沢口靖子さんには申し訳ないですが、僕は見る気にはなれません。