2021年発表の本書は、今は立憲民主党の中堅議員となった小川淳也議員の政策論。ノンフィクション作家の中原一歩氏がインタビュー形式でまとめたもの。小川議員は旧民主党政権で総務政務官を努めたが、民進党~希望の党~無所属~立憲民主党と所属を変えている。特に希望の党の騒ぎの時の行き先を迷う姿を中心に、大島新監督が映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を製作している。
旧自治省出身で、立憲民主党の中では統計に詳しいことから、2019年の国会で与党の統計不正(*1)を追及し「統計王子」の異名をとった。衆議院選挙区は香川1区で、デジタル大臣を複数回担当した平井議員と競り合い、本書の時点では6回立候補して5回当選、しかし選挙区で勝ったことは1度しかない(*2)。
国を良くしたいという若いころの熱情を維持し、修行僧のように清く正しい道を歩んでいると中原氏はいう。30年間温めたという政策論は、必ずしも立憲民主党の方針と一致しているわけではない。どちらかというと国民民主党のそれに近いが、本人は、
「枝野さんより右、前原さんより左」
と称している。政策のポイントは、
1)生涯現役:定年制廃止、年功給から能力給へ、退職金優遇税制廃止
2)社会保障改革:ベーシックインカム導入、財源は消費税25%
3)列島開放(解放):外国人・企業誘致、民間活用の規制緩和
5)国際社会変革:国際公益を追求する部署の新設、国際世論をリード
としている。MMT理論にはある程度の理解を示していて、財政出動は円の価値を下げるので、ため込んでいる富裕層から貧困層への配分ができるという。
解放といいながら、移民についてはあいまいな主張だったのが残念です。それとMMT以外は、僕も賛同できる政策だと思いました。あと、デジタル技術については(平井先生への対抗か)全く記述はありませんでしたね。
*2:2021年秋の選挙では、選挙区で勝利している