新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

いよいよ本物?改革政党

 統一地方選挙後半戦と同時に行われた衆参5選挙区の補欠選挙は、自民党の4勝1敗となった。1敗は衆院和歌山、維新の会が議席を獲得した。立憲民主党は、1議席の獲得も成らなかった。ここにきて、維新の会が野党第一党になる予感が現実のものになりつつある。2021年発表の本書は、ノンフィクション作家塩田潮氏の手になる維新の会の10年史。

 

 日本第二の都市大阪は、横山ノック太田房江両知事時代の無策がたたり、年収200万円以下の世帯が1/4を占める貧困都市になっていた。犯罪発生率・失業率・離婚率が極めて高く、生活保護受給者も多かった。一方ハコモノ行政、公務員天国、天下りや業界癒着がはなはだしく、税金の使い方の問題が多かった。税収は減っているのに支出が膨らみ、財政再建団体に陥る直前だった。

 

        

 

 そんな状況下、いずれも二世府議だった浅田均、松井一郎がタレント弁護士橋下徹を担いで大阪府知事にし、地域政党大阪維新の会を立ち上げる。政策の浅田、求心力の松井に発信力の橋下が加わり、バックに付いた慶應大上山教授の存在もあって骨格が出来ている。その前から多くの有名人が一時的にこの会に参加している。石原慎太郎江田憲司渡辺喜美片山虎之助らであり、野党時代の安倍晋三菅義偉とも交流があった。声をかけたが断られた人物として辛坊治郎の名前もあった。政策分野の大立者として堺屋太一がいたことも大きい。

 

 財政改革・公務員改革・教育改革等々「身を切る改革」の看板は伊達ではなかった。小中学校の統廃合については「維新が学校を潰している」との批判もあったが、少子化ゆえやむを得ぬこと。地元の利権にまみれた既存政党では出来なかったことだ。

 

 二度の「大阪都構想住民投票に敗れるなど苦難の時期もありながら、ようやく本物になってきた改革政党です。僕も応援していますよ。