2016年発表の本書は、3人の歴史学者(*1)による京都の歴史探訪で、15の道を紹介している。ガイドブックにある「○○は何年に建立されました」的な紹介と、歴史書にある「このような時代で、××のために必要だった」的な解説を融合した書である。ある種の道やエリアを15取り上げていて、まるでタイムマシンでそれらを体験しているようだ。15の「道」とは、
1)室町と山鉾の道~町衆と図子
2)開化と繁華の道~新京極と祇園
3)清水坂の歴史と景観
4)キリシタンの道
5)鴨東開発の舞台~岡崎周辺
6)大礼の道~皇居から京都御苑へ
7)「日本国王」の道~北野と北山を歩く
8)災害の痕跡を歩く~鴨川流域をたどる
10)学都京都を歩く~京都大学周辺
12)牛馬の道~東海道と山科
13)古典文学と嵐山・嵯峨野の近代
14)幽棲と共生の里を歩く~洛北岩倉
15)「京都らしさ」と宇治~世界遺産と文化的景観
例えば1)では、市街を南北に貫く大通り烏丸通の西側にある室町通は、かつてはメインストリートであり応仁の乱で荒廃し上京・下京に分かれた街をつないでいたことが紹介されている。加えて三条通・四条通・烏丸通・西洞院通に囲まれたエリアは「明倫学区」と呼ばれ、町人文化の象徴でもある「山鉾」が集中していたとある。
また9)では、木屋町通沿いにある水路「高瀬川」が、重要な水運路だったことと、この周辺に幕末の志士の活動跡(襲撃された等々)があることが紹介されている。有名な三条池田屋もそのひとつだ。
昨年から、京都新町三条に滞在して街歩きをする(*2)ことにしました。1)と9)は実際に歩いたので良くわかります。次回から京都の街歩きには、本書を携帯することにしますよ。
*1:小林丈広同志社大学教授、高木博志京都大学教授、三枝暁子立命館大准教授
*2:改めて京都へ(Apartment MIMARU) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)