新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

5年前にちゃんとバラしてました

 2018年発表の本書は、元東京地検特捜部副部長で衆議院議員の経験もある若狭勝氏の政界裏面(というより暴露)書。著者とはある縁があって面識があり、この本も紹介されたもの。特捜部時代は政治家の不祥事を追うのが仕事だったが、ひょんなことから4年間に4度の選挙に臨み、2勝2敗だったと本書にある。小池都知事の「都民ファーストの会」を応援して勝ち、「希望の党」で戦って敗れた。しかし3年間は議員活動をしていたので、他の議員が語らない国会議員の裏面を平然とバラすことができた。

 

 よく「政治は清濁あわせ呑む」と言われるが、著者の目には「犯罪は犯罪」と映る。昨今話題の裏金問題も、赤裸々に記述してある。国会議員のほとんどは、犯罪者であるとしている。その罪状は、

 

・選挙に当たって事前運動は当たり前

・自らのもしくは支援者の選挙では買収行為をする

・そのための資金はパーティ券のキックバックなどで貯めた裏金

 

        

 

 というもの。政治家個人と政党支部長を使い分けるテクニック(!)も紹介されていた。一般の人が十分実態を知らない、文書交通費、JR無料パス、法外に安い宿舎やオフィス等の特権を享受し、本来の仕事である立法については全く知識がない。

 

 委員会では居眠りやスマホいじり、審議する法案はちんぷんかんぷんなのだからいたし方ない。そんな具合でも議員が務められてしまうので、選挙に勝つこと、党や内閣でいいポストをつかむこと、そのために現ナマを使うことにまったく罪悪感のない議員が出来上がるわけだ。

 

 安倍(当時)総理も含め、現役の国会議員の所業についてもかなり手厳しく批判している。最後に、国会議員を連続で続けることができないよう、衆院4年・参院6年の一期制にすべきとあるのは面白い提案だった。

 

 うすうす知ってはいたが、ここまで赤裸々に書かれると半分絶望してしまいます。しかし5年以上前にバラしてくれていたのに、当時は騒ぎにならなかったですね。本書があまり売れなかったせいでしょうか?