新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

あと4年、悪夢は続くのか

 本書は発行日2020年10月31日の、まさに出たばっかりの本。Book-off専門の僕が、なぜそんな本を持っているかと言うと、著者に送ってもらったから。横江公美東洋大教授とは20年来の知りあいで、15年ほど前に僕がタフツ大フレッチャー校との交渉役を務めた時ずいぶん助けてもらった。9年前に彼女がアジア系初の上級研究員としてヘリテージ財団に迎えられるときは、手を振って送り出した。まぎれもなく彼女は、デジタル政策屋の僕にとっての貴重な米国情報源である。

 

 本書のテーマは今日が投票日の米国大統領選挙、下馬評では民主党バイデン候補有利と言われるが、著者は「トランプが勝つ」と言う。トランプ政権の4年弱は、実は公約の多くを成し遂げてきたと本書にある。

 

・過去最大の減税、1.5兆ドル

・パリ協定からの離脱

・ISISの掃討

・在イスラエル大使館のエルサレム移転

NAFTAの条件見直し

・TPPからの離脱

・米韓FTA、日米FTAの締結

 

 は達成しており、シリアからの米軍撤退も一部は完了。出来なかったのは、米中貿易交渉とメキシコ国境のカベくらいだという。加えて、民主党系の最高裁判所判事が亡くなったことで共和党系の若手を指名、以後20年ほどは法曹界では共和党絶対優位が予想される。

 

        f:id:nicky-akira:20201031130344j:plain

 

 一期目が終わろうとしている時、支持率を下げる政権は少なくない。トランプ政権も下げは見られるのだが、岩盤支持層があるので35%以下には下がらない。米国の大統領選挙は投票する人が有権者の60%ほどだから、有権者の30%を握っていれば勝てるという。加えて対立候補バイデン氏の頼りなさも目立つ。本書に曰く、

 

・どちらの候補者とビールが飲みたいかという調査では、トランプ優勢

・ヒラリーで勝てなかったのに、バイデンで勝てるの?

・年齢だけでなく、言い間違いや失言も多い

 

 トランプ先生の暴露本は一杯出て一杯売れるのだが、もともと(モラル面で)期待値が低いので「マア、そんなものか」で過ぎてしまうという。表ではトランプ支持とは言えないが実は隠れトランプ支持者がどのくらいいるか、僕らには想像できない。

 

 著者の言う通りなら、僕が最悪のシナリオと思った「どっかで戦争始めて、戦時の大統領で居座る」ことはしないでしょう。それでもあと最低4年、彼を見ることになるのは面白くないですが・・・。