別ブログでではあるが、東京一極集中の危険性を書いてみた。欧米諸国では人口1,000万人をこえる都市は珍しい。安全保障面からもこのような集中は避けるべきというのが、都市計画の裏にある。今回の「COVID-19」騒ぎでさらに拍車がかかったのが、一極集中是正の議論。それはいいのだが、今本当の東京はどうなっているのか知りたくて買ってきたのが本書(2018年発表)である。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/10/29/060000
筆者はマーケティングから消費・都市・郊外を考える、カルチャー研究者。国勢調査の細かなデータ満載の、ややカルト的な分析が行われている。東京都の人口は2023年に1,400万人にとどかずピークアウトするが、その後も東京23区だけは2035年過ぎまで人口増加が続くとある。人口増加よりも、住んでいる人が変わってしまったと筆者は言う。
ブルーカラーが暮らしていた下町は高度な専門職が入居するタワマンの林立した都会になり、独身男性が主役だった街に同数以上の独身女性がやってきた。もちろん皆比較的近い職場に通い、平均年収はハネ上がる。職業にしても「分類不能」の区分が増え、そういう人たちは年収が高い。
そのような人が暮らす度合いは地区によって異なるので、以前はほぼ同じ年収だった港区と足立区では、3倍近い格差がついた。子供連れの若い夫婦が都心に増え「待機児童」問題も起きる。外国人の増加も著しい。新宿区では人口の9.1%が外国人、大久保一丁目の成人式では外国人が87%いた。
かつて都会は男性主役、郊外は女性主役だったのに、今や都会は男女同権からやや女性優位に、郊外は主役が不在でさびれていく。ここに外国人という新キャラが加わって事態は複雑になったと筆者は総括する。さてその対処法だが「都市部・郊外を問わず、住宅地・団地の中に働く場所や買い物ができるところを作れ」と筆者は強調する。
今テレワークなどの導入が進んでいて、働く場所・住む場所の差がなくなりかけています。特に近年都心にやってきた「分類不能」の職業を持つ高収入の人たちは、このトレンドに素早く反応しています。住んで・働いて・買い物をして、この3点が近ければ人生は豊かになります。これが先日成立した「スーパーシティ法」の目標でしょうね。