新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

トレッキーが描く後日譚

 先週「Mission Impossible」のビデオを紹介したが、中学生の時やはり毎週楽しみにしていたのが「Star Trek」。重巡洋艦エンタープライズ」が23世紀ころの宇宙を駆け回るSFドラマだった。原作者ジーン・ロッデンベリーは、一度TV局にこのシリーズを持ち込んで「宇宙家族ロビンソン」に敗れた。二度目のアプローチで晴れて放映できることになった。

 

 キャスティングは艦長カーク大佐はウイリアム・シャトナーで決まったものの、副長でヴァルカン星人と地球人の混血士官スポック副長役で難航した。デ・フォーレスト・ケリーは異星人を嫌がり、ドクター・マッコイ役に収まった。もう一人打診されたマーティン・ランドーは妻と共に「Mission Impossible」を仕事を受けローラン・ハンドとして僕らの前にあらわれることになる。結局レナード・ニモイが引き受けるのだが、のちに「Mission Impossible」の5シーズン目以降はニモイがランドーの後釜に座る。

 

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 1966~69年の3シーズンだけNBCで放映された「Star Trek」は、映画化や現代に続く新シリーズを産み出した。熱烈なマニアも多く「トレッキー」と呼ばれている。本書はトレッキーの一人アン・C・クリスピンが書いた特別編である。

 

 本編でのエピソード「ああ、過ぎ去りし日々よ」でカークたち3人は、ある惑星の5,000年前に「時間孔」を通って送られてしまう。その極寒の地で3人は美女に助けられ、スポックは彼女と恋に落ちてしまう。結局彼女をその時代に残したまま、3人は現代にもどるのだが、本書はその後のエピソードとして幕を開ける。

 

 5,000年前の遺跡にヴァルカン人の肖像画が残っていたことから、スポックは息子の存在を知る。上記の「時間孔」を通ってその惑星の5,000年前に戻った3人は、首尾よくザールという青年を見つけるのだが、母親はすでに死んでいた。素朴で純真だが乱暴でもあるザールをちゃんとしたヴァルカン人として教育しようと、スポックらは努力する。

 

 超能力を持ったヴァルカン混血児ザールを巡る話に加え、「時間孔」を知って侵略してきたロミュラン星人の艦隊と、「レキシントン」「エンタープライズ」の艦隊戦のおまけまで付いているお得な作品である。

 

 方々にちりばめられた本編でのエピソードが、とても懐かしかったです。