新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

パスポートを取った後に

 本書は、これまで3冊を紹介してきた21世紀研究会の「世界地図シリーズ」の1冊。国や民族が異なると、生活上の常識にも大きな乖離がある。特に前回紹介した「イスラーム」については、勉強させられることが多かった。

 

 日本もグローバリズムが進んできて、居ながらにして外国人と接する機会も増えた。ただ彼/彼女らは、それなりの知見を持って日本にやってくる。またその場にいるのは日本人が大半だから、日本人が彼らにとっての非常識な行動をしても、大きなトラブルになることは少ない。しかしその国に行って非常識と思われると、危害を受けたり当局に逮捕されることすらある。だから本書は、パスポートを取ったらすぐに読んでみるべき書である。危険なことの例としては、

 

・欧州人はかつて人差し指は毒を含んでいると信じていた。指差しはNG。

・親指立ては欧米ではOKサインだが、中東などでは性的侮辱にあたる。

・欧州では菊の花は葬儀の時に使われるので、通常は贈ってはいけない。

・欧米では靴を脱ぐのは下着を脱ぐのと同じ、人前でしてはいけない。

・中国では時計を表す「鍾」が「終」と同じ音なので、贈ってはいけない。

 

 などである。もちろん、ドイツで「ナチ」というなどは論外。

 

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 面白かったのは、まず靴の風習。英米のビジネスマンはオフィスを戦場と考えていて、オフィスでは通勤用よりいい靴に履き替えて気合を入れるという。日本人がオフィスで慣れたスニーカーなどに履き替えるのは、信じがたいらしい。ちゃんとした会合にはローファーなど履いて行ってはいけない。ちゃんと靴紐のあるものが望ましい。

 

 宗教からみはやはり厳しい。イスラーム自爆テロ対策として、イスラエルは「テロ犯の遺体は豚と一緒に埋葬する」と宣言した。十分効果があったらしい。そのイスラエルユダヤ人も、豚は食べない。ハム・ソーセージなどの加工肉は日本人には盲点になるので、気を付けるべきだ。

 

 食事の作法は、箸文化、ナイフ・フォーク文化、手づかみの3種類あるが、同じ箸文化でも韓国はスプーンが主流。このあたりはソウルで散々体験したことだ。驚いたのはミャンマーでも「左手が不浄」だということ。何度か通った時、左手を使っていなかったか自信がない。

 

 再度読み返し、初めての国に行く前には、ちゃんとチェックしておくようにします。