新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

始りはオスマン・トルコ崩壊

 デジタル政策が国際環境でも幅広く議論されるようになり、僕も国際情勢を勉強しなくてはならなくなった。サイバー空間には国境はないはずなのに・・・。これまでいろいろな国の現状を見てきたが、どうにも苦手な地域が「中東」。宗教そのものに知見も興味もないし、ましてやイスラム教についてはまるっきりである。そこでなるべく簡単そうな本を選んで買ってきた。

 

 本書の著者池内恵准教授は、東大で中東地域・イスラム思想を専門とする研究者。本書は2015年に発表されたもので、イラクからシリア、トルコにまたがる地域を今でも支配している、国かどうかが定かでない国「イスラム国」を特集している。ある小説で「アル=カイーダは組織ではない、ビジネスモデルだ」と主張していたことを思い出し、シーア派スンニ派クルド人や上記の言葉を一度整理してみたくて探してきた。

 

 本書によると中東の混乱は、第一次世界大戦オスマン・トルコが敗戦国となり、トルコ系以外の住民が住む地域を「独立」と称して列強が植民地化したのが始まりだという。中にはクルド人のようにトルコ・シリア・イラクにまたがる地域に住んでいて、自らの植民地的独立すら得られなかった人たちもいる。

 

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 第二次世界大戦イスラエルという国が出来、イラン・イラク戦争も起きた。その後サダム・フセインイラクが米国に敗れ、アフガニスタンソ連軍が侵攻、大国相手のイスラム教徒の戦争が続く。ビン・ラディン率いるアル=カイーダが米国を襲撃して「テロとの戦争」も呼んだ。

 

 この間「ジハード」を叫ぶ武闘派の教徒たちがこの地区に集まってきて、シリアに内戦が勃発するなどしてクルド人居住地区を中心に力の空白が生まれた。そこで打ち立てたのが正統アル=カイーダではないが「カリフ」を名乗る集団。「カリフ」とはムハンマドの血筋の統治者の事だが、「イスラーム国」は正統性を主張し世界中の京都に呼び掛けた。

 

 このころ同時の起きたのが「アラブの春」という運動。こちらは穏健派の教徒主体だが、民主的な国を求めて立ち上がりある程度のところまではいった。彼らは2020年に「世界カリフ制国家再興」の構想を持つという。

 

 少なくとも現時点ではそうなっていませんが、サウジアラビア等で近代化の動きもあります。未だ衰えぬ「イスラーム国」含め、世界の不安定要因であることは確かな地域ですね。