昨日「イギリス人のグルメ探偵」という、考えにくい設定のミステリーを紹介した。今日は、本当に美味いものを追求するフランスでの話を読んでみたい。とはいえ著者は日本人のお二人、工藤瞳さんと鵜野幸恵さんはパリ在住の食通・ワイン通である。
前半は、フランスの特徴的な食材を1ダース紹介している。もちろんその中には日本でも食べられているものも多いのだが、扱いは日仏間でかなり違う。一例はウサギ、日本でも「1羽2羽」と数え4ツ足を食べない時代でも、鳥扱いで食べていた。しかしフランス人は市場で丸ごと1匹買って帰るという。鍋のフタを開けたら、ウサギの顔と鉢合わせしてしまい、どうしても食べられなかった日本人の話はさもありないと思う。
もう一例はバラ、当家でもこの春には咲いたバラの花びらで家内がジャムを作ってくれたが、フランス人は(花びらを蒸留した)バラ水やバラ油を重用し、ジャムやらシロップを作るのが好きだとある。
後半は1ダースのレシピと、それに合うワインの紹介。こちらもカラー写真が豊富で、大変参考になった。例えば、
・臓物料理 ⇒ ラングドックの赤かロワールのシュナン・ブラン(白)
・石狩鍋 ⇒ ローヌ河沿いのコンドリュー(白)
・牡蠣料理 ⇒ ジュラ地方のトルソー種(赤)やサヴァニアン種(白)
・甘栗のきなこまぶし ⇒ ルシオン地方のショコラ(デザート)ワイン
・ウサギの梅肉和え ⇒ ボジョレー地区のガメ種(ヌーボーは除く)
・スフレに鯛の味噌和え乗せ ⇒ ナント郊外のミュスカデワイン
・ブーダン(血のソーセージ) ⇒ アルザス・ロワール地方の発泡ワイン
・鶏の照り焼きバラ風味 ⇒ ピノ・ノワール種の軽めの赤
などとなっている。これらは、和風の調理法も取り入れたレシピが多く。それにフランスのワインがしっかり合うという。やっぱり欧州の食べ物は大陸、しかも南の方が美味しいよねと思わせる書でした。見ただけで「ごちそうさま」です。