昨日の「中国vs.世界」に引き続き、安田峰俊氏の中国論を紹介したい。それも特別にドロドロしたテーマである秘密結社。広大な土地を治めるには、地方分権型では上手くいかない。古来の王朝も、今の共産党政権も、
・中央に絶対的な権力を集中
・地方には中央から官吏を派遣して統治
する形をとった。派遣管理は土地に愛着がなく、一通りの行政はするが地域に根差した細かな配慮などない。そこで、地域住民は互助会的な組織「洪門」を作った。これが排他的な秘密結社の原型なのだが、派生形は3つある。
・義兄弟の契りのような「会党」、マフィア的な黒社会を作ることもある
・宗教に根差した「教門」、過激になってくると「邪教」として排斥される
・政治目的で集まった「政治結社」、大規模なものとしては「太平天国」がある
「洪門」は国外にもあって、カナダや米国の「洪門」は、清朝打倒を掲げた孫文への支援も行った。国内の「洪門」は、日本軍の侵略に抵抗したり、親日政権を支持するなど対応が分かれた。ただ孫文の国民党にしても、毛沢東の共産党にしても、政権奪取後は「洪門」を裏切って排除した。現政権も多数ある「洪門」を上手く使い、香港では民主化デモ鎮圧をさせている。一方、小規模な「洪門」が独立国を名乗るケースも後を絶たない。
政権が気にするのは「邪教」集団、宗教に対する共産党政権のスタンスは、
・鄧小平 宥和施策で宗教集団が活発化
・胡錦涛 再び取り締まりの緩和
となっている。「邪教」も2種類あって、道教・密教ベースのものは数は少ないが巨大化(最大1億人)する。例としては「法輪功」。キリスト教ベースのものは、数十万人規模だが、数が多い。中国にも統一教会はあるし、「全能神」というキリストが中国女性として再臨したとする宗派を政権は警戒している。