新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

僕が料理(?)に目覚めた本

 「美味しんぼ」というTVアニメは、全部ではないが割合見ていた。まだ30歳そこそこで、田舎の地下鉄終着駅近くの小さな賃貸マンションで一人暮らし。オフィスまでは徒歩20分、自転車なら10分。地下鉄駅周辺には呑み屋街もたくさん、オフィス往復の道すがらには、日本一大きな駐車場完備の「養老の滝」まであった。

 

 毎晩欠かすことなくお酒のお世話になる日々だが、そのころから「つるんで呑みに行く」のはあまり好きではなく、お家でおひとり様ドリンクが中心だった。オフィスからの帰り道には、その地域としては大きなスーパーマーケットがあってよくお惣菜を買ってきた。

 

 そんな生活が、「美味しんぼ」というTVアニメ、その原作である単行本(もちろんBook-offで購入)、そして本書で少しづつ変わり始めた。本書には40余りのエッセイが収められていて、そのほとんどは原作の一作一作のネタになったものだ。あ、これ本で読んだなとか、TVで見たなと思いながらページをめくるうち少しは台所に立とうかという気になってきた。

 

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 それまではインスタントラーメンを作ったり、お刺身を切ったり、野菜サラダを作るくらいだったのだが、もう少し手の込んだこともしてみようと思い始めたのだ。本書の最初のエッセイには本格的な「だしの取り方」が書いてあったが、これは2~3度トライアルして断念。市販のものに切り替えた。

 

 次には水、確かに水道水は美味しくないと思い、今も使っている「Brita」という浄水器(&フィルタ)を買ってきた。そして極めつけは「緑健トマト」。本来トマトはアンデスの高原野菜、オリジナルの環境で育てれば本来の甘みがでるというのだ。TVアニメでは静岡県の農家の作物が紹介されていて、これは(多少高いが)上記のスーパーでも手に入った。

 

 本当に果物のような味で、以降僕の野菜サラダの主役になった。その他ステーキの焼き方、ルウを使わないカレーの作り方、すき焼きとしゃぶしゃぶの良いとこどりをした「しゃぶすきー」など、実際にやってみて悦に入っていた。

 

 そんなものが料理と呼べるかと言われるかもしれないが、たまに呑みに出かけてもその店がどういうスタンスで調理しているのかを見る「初歩の目」は得たように思う。そのおかげで、今でも美味しいものを求めて世界中を歩けるようになったと自負していますけど・・・自己満足でしょうか?