新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ナチスドイツのマイナー兵器(前編)

 別ブログでだが、アバロンヒル社の「Advanced Squad Leader」というアナログゲームシステムを使って、第二次世界大戦当時の兵器や戦場の模様を紹介している。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/07/13/060000

 

 このゲームは、日英米ソ独伊はもとより、マイナーな国の軍隊や兵器も登場する膨大な資料集である。ただそんな「まるごと第二次世界大戦」というゲームにも登場しない兵器は、各国にいくらもあった。本書は多くの傑作兵器を産みながら、同時に大量の駄作兵器も創ったナチスドイツのマイナー兵器を取り上げたものである。

 

 さらに個々の兵器についての記述だけではなく、ドイツのR&D計画が持てる技術力や資金・資材の割にはうまくいかなかったことに触れ、その原因を、

 

・中央管理部門に個々の発明や開発の内容をチェックする機能がなかった。

・陸海空三軍に加え、親衛隊とナチス幹部が独自に研究開発をすすめムダを産んだ。

・1940年の電撃戦勝利に酔ったヒトラーが、2年間防御用兵器の開発を止めた。

 

 と分析している。

 

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 それでは、本書に記されたマイナー兵器たちの中で、僕が興味を持ったものをご紹介しよう。

 

◆超長距離砲V3

 ヒトラーの「報復兵器」のひとつ。150mm径の高圧ポンプ砲で、全長は長い物で150mもあった。砲身の脇に多くの薬室があって、砲弾の速度を砲身内で徐々に高める構造だった。大陸からロンドンを狙える仕様だったが、実用化に手間どるうちに役割をパルスジェット弾(V1)、ロケット弾(V2)に奪われた。

 

◆180トン戦車「モイゼ」

 ソ連の重戦車開発計画を察知したナチスは、これを上回るっ巨大戦車開発に乗り出す。試作された「クルップ・モイゼ」は、最大装甲厚240mmで主砲は128mm砲、副砲が75mmである。重量は180トンにも及んだ。終戦までに2両が完成したが、実践参加の記録はない。

 

◆携行対空ロケット「フリーガーファウスト

 歩兵が携行できる対戦車兵器としては、成形炸薬弾を用いた「パンツアーファウスト」などがあるが、大戦後期になると歩兵が戦車だけでなく戦闘爆撃機にやられるようになった。そこで開発されたのがこれ。20mmロケット弾9発を発射し、2,000m程度の射程があった。全備重量が10kg以下なので携行可能だったが、前線への配備が遅れあまり役に立たなかった。

 

<続く>