新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ナチスドイツのマイナー兵器(後編)

◆タオホパンツアーⅢ号/Ⅳ号

 通常のⅢ号/Ⅳ号戦車を水密化し、約15mの深さまで潜れるようにしたもの。英国上陸「あしか作戦」のために約200両が改造された。簡単なシュノーケルも付いていた。しかし「あしか作戦」は決行されず、1941年に東部戦線に投入されソ連の河川渡河作戦に投入された。

 

◆巨大輸送機Me323ギガント

 これも「あしか作戦」用に開発された巨大グライダーMe321に、6発エンジンを付けて輸送機としたもの。グライダーとしても22トンの資材を運ぶことのできる(当時)世界最大のものだった。全幅はほぼB747に等しい。しかし最大速度285km/hでは「絶好の得物」であり、イタリア・ロシア戦線で姿を消した。

 

◆シュトルウム・ピストー

 口径27mmの信号拳銃で、小型の徹甲榴弾を撃てるようにしたもの。拳銃本体の全長は155mm、重量は1.4kgほど。肩当てストックを装着しても、射程は100m未満だったようだ。ただ実際にこの銃でT34戦車と渡り合ったという記録もあり、これが世界最強の拳銃であることは間違いない。

 

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◆赤外線狙撃スコープZG1229

 1943年以降の東部戦線では、ドイツ軍はロシア兵の夜襲に悩まされた。精度の高い狙撃銃部隊も暗夜では敵を捕らえられない。そこで開発されたのが赤外線スコープ「ヴァンパイア」である。スコープといっても125mmの赤外線照射装置や受像機まで電池駆動するのだから、重量は15kgほどになった。有効射程は100mもなかったという。この技術は後にパンテル戦車にも搭載されて戦車の夜戦を可能にしたというが、戦果のほどはよく分からない。

 

メッサーシュミットP1101

 数あるジェット戦闘機のプロジェクトのひとつ。単発・単座で、高度7,000mで時速980km/hを目標にした。小型機ゆえ短い距離での離着陸が可能だった。航続距離は約1,500km。20~30mm機銃を最大4門搭載可能だったが、完成前に終戦。試作機や図面を連合国が持ち帰った結果、朝鮮戦争では似たような2機種(F86セイバー・Mig15)が戦うことになる。

 

 今回紹介した2冊には、その他にも誘導弾やロケット戦闘機、曲射銃身、陸海空の無人兵器などが紹介されている。まさに「殺し合いともなれば、人類の知恵は無尽蔵」ですね。