新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ARPANETから半世紀

 2021年発表の本書は、インターネットの過去・現在・未来を「インターネットの父」村井教授と天才プログラマーと呼ばれた実業家竹中直純氏が対談したもの。

 

 1969年に、米国の3大学の研究所をパケット通信網で結んだのが"APANET"。これがインターネットの最初だと教授らは主張し「インターネットは軍用システムの民間利用」とするのは誤りだという。インターネットの使命は「人間の望んでいること、解決したいことを実現する」にある。

 

 大学等での研究は10年後を見据えてやるのだから、容量の大きな回線や通信手段(例えば5G、6G)をひいても、過剰だと思ってはいけない。インフラがあってこそ「何かが自然にできるようになる」という。このあたりが、研究者と実業界の温度差だろう。ただ僕も、漫然と5Gのキラーアプリを探すだけではなく、したいことが自然にできてしまう社会を考えるのも必要だと思う。

 

        

 

 AIについても、OECDガイドラインを示して、

 

・人間と地球環境に役立つ

・公平公正な社会に寄与する

・透明性を確保し情報開示をする

・リスクを常に評価、管理する

・関与する組織は、上記原則の正常化に責任を持つ

 

 ことで、信頼を得られるとある。このガイドラインアシモフの「ロボット3原則」に通じるとも言っている。一方「インターネット(接続)は人権だ」とすることには、危機感を覚えるともある。インターネットは国家を超越した全人類のものだから、人権を盾に国家が介入することへの警戒感らしい。

 

 デジタル庁の在り方として、従来の役所とは意識を変えて、

 

・全てをオープンにして、境を作らない

・テクノロジーを使って全ての地球人を幸せにすることを考える

 

 であるべきという。村井教授とは20余年のお付き合い、今も1回/月程度はお会いしています。そのバックグラウンド、本書で確認させてもらいました。