新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

そのバッジの意味は何?

 2020年発表の本書は、2019年にNHKスペシャルで放映された「崖っぷち?わが町の議会」の基になったアンケート結果の分析書。日本中の地方議員(県会・市会・町村会・区会)約32,000人に選挙ややりがい、議会の在り方など17項目の質問をし、約20,000回答を得たもの。

 

 本来地方議会は条例を作るもののはずだが、同じ市民から選ばれた首長と対峙し、これをけん制する存在としての意味が大きい。条例案はほぼ全て首長指揮下の役所が作成し、議会はこれを追認することになる。首長提案の条例案のほとんどが成立するという。

 

 高度成長期には、議会は口利きが主な仕事。自分の地元や業界に少しでも早く支援が届くように計らったものだ。しかし現在では口利きの意味も薄れて、選挙はするが他に何をしたらいいか迷う議員もいる。

 

        

 

 問題のひとつは報酬、町村議員の月額報酬は15万円ほどで、富裕な人か年金生活者でなければ、副業がないと生計が立たない。政令指定都市の議員との格差は5倍にもなるという。お金に困ることや理解が不十分なこともあって、政務活動費を巡る不正も後を絶たない。

 

 たまに議会で質問するだけが仕事、誰も注目してくれない・・・なんと議員の25%が、地方議会は無くてもいいのではないかと思ったことがあると回答している。そんな世界に好んで飛び込んでくる若者は少なく、高齢男性ばかりの議会になるし、後継者不足も著しい。なり手不足は、無投票当選も増やす。2019年統一地方選挙では、

 

都道府県議会 26.9%

政令指定市議会 3.4%

・市議会 2.7%

・町村議会 23.3%

 

 が無投票だった。定数を削減してその分報酬を上げたらいいと思うのだが、大阪は別にしてそういうムーブメントも起きないくらいに停滞しているようだ。

 

 熱海市議会議員選挙などで感じたことが、はっきり数値となって示されたアンケートや調査結果でした。僕はやっぱり、徹底した定数削減をすべきだと思いますがね。