新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

「女性初」を追求したジャンヌダルク

 統一地方選挙が終わり、政界はしばしの休息に入った。岸田政権の黄金の3年間は、あと2年を残しているが、波乱要因がないわけではない。その一つが<政局の女王>ともあだ名される小池都知事。TV東京のWBS(*1)キャスターから、日本新党で政局入りし多くの政党を渡り歩いた人物である。民進党崩壊時、希望の党を立ち上げ保守系2大政党を目指したこともある。

 

 2020年発表の本書は、彼女の都政1,400日を取材してきた、<週刊文春>和田泰明記者の見た「政界ジャンヌダルク小池百合子の姿を記したもの。著者によれば、彼女は常に仮想敵を作り、それと闘うジャンヌダルクの役を演じてきたという。その過程で「ガラスの天井」を打ち破る、女性初の何かを追い求めていたともある。実際に女性初の防衛大臣になって、当時の守屋事務次官と55日バトルを行っている。女性初の都知事として、築地市場豊洲移転問題や、オリンピック問題に独自の感性で働きかけた。

 

        

 

 今でこそ女性初の総理大臣の噂は下火になっているが、より若い候補者たちも伸び悩んでいるわけで、いつ復活するか分からない不気味さはある。本書には、希望の党を立ち上げた時のことも詳述されていた。枝野議員ら安保・改憲で意見の合わない候補者は「排除する」と発言したのが、希望の党の惨敗に繋がったと思っていたのだが、もっと根深いところに原因があったし、準備不足の思い付き行動だったことを窺わせる。

 

 彼女が都知事選に立候補する時に言った言葉が「私は10年に一度は勝負する」。勝負とは転身のことで、

 

・1992年、政界進出

・2005年、小泉郵政選挙で刺客として選挙区変更

・2016年、都知事選挙

 

 ということらしい。この分では、2~3年後にもう一度勝負の時がやってくるのかもしれない。さて、その時に向けた準備は進んでいるのでしょうかね?

 

*1:World Business Satelite