2020年発表の本書は、「永遠のゼロ」の作者百田尚樹氏の憲法論。以前「偽善者たちへ*1」を紹介していて、巷間言われるほど偏向した論客(要するに極右のこと)ではないと思った。憲法論としてはこれまで、
・政治家(石原慎太郎)
・法学者(長谷部恭男、佐伯啓思)
・著述家(菅野完)
・思想家(鈴木邦男)
らの書を紹介している。いずれも勉強になったのだが、本書はそれらよりずっと分かりやすい憲法(改正)論である。象徴的なのが9条の改正案。たった2行でいいとある。
<新9条> 日本国民は、侵略戦争を永久に放棄する。
2項 日本国民は、日本が他国から侵略を受けた場合、徹底してこれと戦う。
9条改正について一部野党、メディアの反発例を挙げて、これらを糾弾している。「家の鍵を強化したい」と例示して提案すると、「鍵はボロでいい。強くすれば相手はそれ以上の道具を持ち出す」との反論が来る。ひどいのになると「非武装で侵略されたら降伏する。歴史に美しい民族がいたと記録されることで満足」という評論家もいた。
「旧民主党や共産党などの議員は100%クズ、自民党議員の80%もそう」が持論で、本来憲法改正が党の目標だった自民党の及び腰を叱っている。安倍一強時代にも取り組めなかった理由は「COVID-19」禍だけではない。憲法改正を主導すれば、メディアに叩かれて次の選挙が危うくなる。そんなリスクは(小選挙区制での不安定な立場である)議員として取れないのだ。
残念ながら、今業界で話題の21条についての記述は全くないのですが、国防のための改正については、熱量十分(*2)で語っています。さて、日本保守党の行方はどうなるのでしょうか?そして憲法改正の日は来るのでしょうか?
*1:思ったほど過激ではなく - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
*2:このままだと日本国民は9条に殺される!