新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

観てから読むことになり

 在宅勤務が続いていて、本の読み方も変わってきた。これまで半分以上のページは往復の新幹線車内か、近距離・遠距離を問わず移動中に読んでいる。もちろん欧米便のフライトの中ということもある。ところが移動時間というのがほとんど無くなってしまし、今はTV前のソファで読むことが多い。

 

 またTVの見方も変わった・・・というより増えた。さらにNCISのビデオを見る以外には使っていなかったDVDプレーヤーの中のコンテンツも見るようになった。10年以上前になるだろう、NHK-BSで放送された「刑事コロンボ」の60話以上をDVDに録画してあった。その中でまだ見ていなかった作品を、時々見るようになったのだ。ある日見たのが、「5時30分の目撃者」。面白く観たあとで、本棚を探すと本書が出てきた。帯には「TVでは味わえない面白さ」とあるので読み始めた。

 

 精神分析医マークは、野心的な男。催眠療法に長け多くの患者から信頼されているが、病院のオーナー夫人と不倫関係にあるなど「女でいり」も激しい。この日、オーナーの眼を盗んで夫人と密会しようとしたマークの目の前に老オーナーが現れる。クビを言い渡されたマークはオーナーの後頭部を火掻き棒で殴り殺してしまう。

 

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 マークは夫人をいいくるめ「7時30分に二人組の強盗が来て、争いになって夫が殺された」と証言させようとする。自分は病院に戻ってその時間のアリバイを作るつもりだが、5時30分に現場を出る時、車で犬を連れた盲人を撥ねそうになってしまう。

 

 とりあえずのアリバイは作ったものの、心配なのは夫人の不安定さ。いつ本当のことを言い出すかわからないので、マークは夫人の口封じを考える。そこで使ったのが専門の心理療法で使う催眠術。うまくアリバイを作って夫人を「自殺」させたものの、例によってコロンボ警部がマークの周辺をうろうろし始める。

 

 極めて忠実にTVドラマを日本語化したもの、というのが読み終わった印象。これは「原作」ではなくて「ノーベライゼーション」だね。どちらが面白いかというと、やっぱりTVの方かな。それでも文字を読んでいて、テーマ音楽が聞こえてきたり、コロンボ警部の特徴ある声(残念ながらピ-ター・フォークの甲高いのではなく、小池朝雄のやや太い声)が耳についてくる。

 

 特にこの時期在宅が多いのなら、TVドラマを見ているのがいいですかね。