新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

内向きの米国が経験した失敗

 トランプ政権になってホワイトハウスからグローバリストが駆逐されてしまったとう話は、別ブログでご紹介した。WTOの上級委員の補充を妨害してアゼベド事務局長が任期1年を余して辞めさせたり、「COVID-19」騒ぎの最中にWHOへの資金拠出を止めてしまうなど、どんどん内向きになっていく。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/05/21/060000

 

 何かこんな話があったなと思い、本棚から本書を引っ張り出してきた。「COVID-19」の影響による経済危機が、大恐慌以来だと言われていることもある。大恐慌はなぜ起きたのか、どうやって回復したのかも再確認したかった。

 

 第一次世界大戦は、当時世界の大部分だった欧州に甚大な被害を与えた。その結果敗戦国ドイツはもちろん、多くの犠牲者を出したフランスも英国も国際社会を支える能力を失ってしまった。そこで登場するのが新興国米国なのだが、本書によると「未成熟な10歳代の若者のように、自らの繁栄に陶酔し富を国際的に分配するどころか、移民にも輸入にも門戸を閉ざし、国際連盟への加入も拒絶した」とのこと。

 

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 1920年代は、米国の市場経済が非常に伸びた時期である。S&P株価指数は、1921年のボトムから1929年のピークまでに、8倍以上に伸びた。株式を持っている層(中間層~富裕層)の資産は増え、格差が広がったわけだ。しかしその後2年間で1921年のレベルに戻り、再び1929年の値に戻るのは第二次世界大戦後の1950年まで待たないといけなかった。

 

 この株価暴落の結果、農家の収入は半減し、失業者は街にあふれ、3ヵ月で1,3000行あまりの銀行が倒れ、自殺者も10万人あたり17人のレベルまで上昇した。

 

 本書では1920年代の成長には低金利政策が過度に働きバブルを生んだのだが、国際経済に責任を持つ国なら自国に短期的には不利でも高金利政策をとるべきだったし、しばらく前の英国ならそうしたとある。新興国の未熟さはこれだけではなかったが、今も参考になる教訓である。

 

 米中対立と「America First」の米国はどうなる?新興国中国に「国際社会のリーダー」としての成熟を求められるのか?本書を読んで、ちょっと嫌な予感がしてきました。