新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

もう一国、困った隣人

 昨日中国の事を「困った隣人」と紹介したが、ある意味もっと困った隣人なのが韓国。徴用工問題・慰安婦問題など解決したかと思っていたら蒸し返されるし、どう考えても北朝鮮向けに必要ない空母の建造を計画したりする。空母など、どう見ても「仮想敵日本向け」である。

 

 特に現在の文政権になってからの日韓関係は、悪化の一途をたどっている。本書は朝日新聞の元ソウル支局長だった牧野愛博氏が、帰国後の2019年6月に発表したもの。当時は韓国軍艦が自衛隊のP3Cに射撃用レーダーを照射したり、国会議長が天皇(現上皇)を「戦争犯罪の主犯の息子」と呼び、物議を醸していた。

 

 文政権は前の朴政権が5%ほどの支持率だったのを批判して成立したことから、「積弊精算」を掲げて朴前大統領。李前大統領らを逮捕、彼らにつながる多くの人達も刑務所に送った。そのころは圧倒的な支持率だったのだが、著者によれば3つの失政があって支持率は下落する。

 

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 ひとつは、最低賃金の急激な引き揚げ。所得主導の成長戦略だったのだが多くの企業で雇用が維持できなくなったり、売価に転嫁して業績悪化から倒産にいたる羽目になった。もうひとつが、非正規雇用者の無理な正規雇用への転換。これも企業の首を絞め、結果として失業者を増やすことになった。最後のひとつが、原子力政策。原発を減らしたもののその分の電力を化石燃料に頼り、中国からのばい煙と相まってソウルにPM2.5の害をまき散らすことになったと筆者は言う。

 

 加えて内政にしか興味のない文大統領は、外交や防衛を顧みることなく手を抜いた。その結果、中国・米国との関係もおかしくした。そんな中、北朝鮮との融和から統合への「外交」だけには熱心で、これも米国の不興を買っている。

 

 もともと韓国には「日本になら何を言っても許される」と言う意識があり、文大統領も内政で不都合が起きれば、日本のせいにする、日本の悪口を言うことで支持率維持を図ってきた。彼自身「自分は悪くない、あいつが悪い」と他人のせいにするのは、弁護士時代からの得意技だったようだ。

 

 そんな韓国で、日本のアニメ「孤独のグルメ」が人気らしい。大勢の家族や仲間で食卓を囲むのが伝統だった国なのに、ホンパプ(孤食)が流行り始めたという。頑固なようで微妙に変わり始めた隣人、さてどう付き合えばいいのでしょうか?