以前「あっと驚く飛行機の話」の中で、第二次世界大戦での軍用機に関するコメントを紹介したが、対象が膨大なのでとても書ききれるものではない。このテーマで二冊目に紹介したいのが本書「忘れられた軍用機」である。
本書には42機の各国の軍用機が紹介されているが、共通しているのは全部「脇役」であること。また少なくとも配備されてある種の「活躍」をしたことだろう。零戦やスピットファイア、B17(Queen of the Sky)のように「主役」は張らなかったが、烈風や秋水のように試作のみで終わったものではないということだ。42機のうちで印象に残ったものは下記である。
◆アームストロング・ホイットワース・アルベマール
英軍の双発爆撃機。自重が8トン近い鈍重な機体で、爆撃機としてはドイツ戦闘機の好餌になるだけだった。しかしグライダー曳航力があって「マーケットガーデン作戦」では大活躍をした。
◆ハインケルHe115
ドイツの双発水上機。特に変わったことの無い機体だが、雷撃ができるという利点があった。ドイツ軍が当初想定しなかったバレンツ海での海戦が生起し、ソ連への輸送船団を雷撃で沈める活躍をした。
◆FFVS・J22
中立を保ったスウェーデンの単座戦闘機。13mm&7.9mm機銃各2門という武装は貧弱で、諸性能も平凡だったが、防衛戦専用ならこれで十分だった。今でもこの軍は防衛専用の特殊兵器を配備したユニークな軍隊である。
◆P63キングコブラ
米国陸軍の戦闘機。P39エアラコブラの後継機で、エンジン強化により速度も航続力も大きく向上した。しかし登場が1944年後半と遅く、対ソ援与で東部戦線に回された。機首の37mm砲が地上攻撃に大変有効だった。
◆九州飛行機・東海
日本海軍の陸上哨戒機。角ばった広いコックピットが外観上の特徴で、一見ドイツ機のように見える。用途は対潜哨戒。艦隊決戦にあたり敵潜水艦の偵察・攻撃を排除するために開発されたもの。
このほか英国軍の「変な兵器」、フェアリー・フルマー艦上戦闘機(なんと複座)やボールトン・ポール・デファイアント戦闘機(前方を射撃する機銃なし)もあるが、これらについては今回はコメントしない。
アイゼンハワー将軍は第二次世界大戦を勝利に導いた兵器として「ジープ、バズーカ、C47」を挙げています。そう「脇役」無くして軍は動けないのです。