新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

上海人の金銭感覚、2017

 1週間前に別ブログでだが、上海の2年の勤務を終えて帰国した人に聞いた話を紹介した。スマホがあれば財布の要らない便利都市、みんな豊かで政府を信頼しているとのことだった。

 

中国都市部の今の状況 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 日本での「中国崩壊」報道はともかく、もう少し現地の事を知りたくなって買ってきたのが本書。2018年の発表で、日本の事業者がインバウンド需要を取り込むための参考書のような位置づけのものだが、当時の上海の「プチ富裕層」の生態がよく分かる。筆者は、中国で日本旅行を紹介する専門誌「行楽」の創業者。

 

 「行楽」の読者層は、平均年収870万円。500~2,000万円が「プチ富裕層」だから、おおむねこの人たちと思っていい。興味を惹いたのは種々のお値段。

 

・時間給300円ほどで、家事・買い物代行などしてくれる人はいっぱいいる。

・国際的な教育をしてくれる高校に一人通わせると、250万円/年。

・さほど高級でないレストランでも、外国料理なら2万円/人。

・リゾート地三亜のホテルは、1泊15万円以上。

・三亜のレストランはぼられる。ホタテ料理260円とあるのは、一皿ではなく1個の値段。

 

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 レストランやホテルの代金を考えると、日本は「安い!」となるわけだ。もちろん習慣の違いがあって、日本のレストランやホテルも気を付けないといけない。

 

・角部屋は「風水」の関係で幽霊が集まるとして嫌われる。

・温かいものでなければ、料理と呼べない。氷水のサービスなど論外。

・餃子は北部の食べ物、上海人はそんなものは喜ばない。

 

 このあたりは、まだ笑うだけだが、筆者も子供の教育では苦労したとある。まず異様な教育熱、3歳ころから宿題・テスト漬けの日々。家事は家政婦がしてくれるからいいのだが、宿題の手伝い・PTA(会長選挙のすさまじさ!)の付き合い等で母親は仕事を辞め専業主婦になる人が多い。アメリカ留学がGoalだが、近年その効果も薄れてきた。以前は米国帰りだと初任給1.5倍ほど取れたのだが、最近は1.1倍程度。それでも親は必死に英語教育サイトを探す。

 

 最近噂で聞く、教育塾廃止や英語教育禁止なども、この過当競争が産んだものかもしれません。それでも多分これらの規制は「除く共産党員の子弟」なのでしょうね。