<ニューオリンズ>という街が米国にあるが、その語源が「新しいオルレアン」だと聞いたのが、僕が最初に地名に興味を持ったきっかけ。まだ学生時代のことだった。その後ある文字が付いているところは、かつては沼で洪水が多いと不動産屋から聞いたこともある。地名は、歴史を映す鏡なのだ。それを世界規模で解き明かしてくれたのが本書(2001年発表)。編纂したのは「21世紀研究会」という人たち、歴史学・文化人類学・考古学・宗教学などの研究者9名で成る団体だ。
本文は200ページほど、世界各地域の歴史を振り返りながら、この土地はこうだった・ああだったと解説してくれる。そして巻末(というのには分厚すぎるが)100ページで、各国の名前や首都の地名の意味を紹介してくれる。米国の場合は50州について記載がある。そう、あそこは合衆国だった。ちなみに州は<State>というのだが、意味は自立するものというらしい。米国政治の根幹が、理解できるエピソードだ。
いくつか興味を惹いたことを紹介しておこう。まず、僕も縁のあった国ミャンマー。
・(仏教国だったから)ビルマ語で「強い人」を意味するミャンマーに変えた
・首都ヤンゴンは「最後の戦い」の意味、ラングーンが英語読み
次に話題沸騰の台湾。
・マレー語で「外来人」のこと
・マレー系がいたところに中華系が入ってきたと思われる
マイナーだけど、ある意味HOTな国、ソロモン諸島。
・発見した探検家(スペイン人)がソロモン王の地を発見したと吹聴した
・首都ホニアラは「南東の風の吹くところ」の意味、かつてヘンダーソン飛行場があった
これもHOTな国、ウクライナ。
・東欧から見て「辺境の地」の意味
・首都キエフは、最初に国を作ったバイキング三兄弟の名からとった
・前19世紀、伝説の建国の英雄アルメネケの名からとった
・首都エレバンは、かつて要塞エレブニがあったことから
かつてのローマ帝国の中心、イタリア。
・ギリシア人が「牛が多い」と、子牛(Vitulus)と呼んだことから
・首都ローマは、エトルリア語で「川の町」の意味
米国50州のうち、内陸に多いのがインディアンの言葉にちなんだもの。
・オクラホマ:赤い人
・カンザス:南風の人
本書は、辞書として使うことにします。