新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

マフィアへの報復作戦

 2000年発表の本書は、昨年「ホワイトハウス・コネクション」までを紹介した、ジャック・ヒギンズの「ショーン・ディロンもの」。その続きがずっと見つからなかったのだが、ある日平塚のBook-offで見つけて即購入。前作同様、ディロンにファーガスン准将、バーンスタイン警視の<英国首相の私的軍隊>と米国大統領直属機関<ベイスメント>の長ブレイク・ジョンスンが活躍する。

 ただ今回は、英国首相や米国大統領から託された事件ではない。ジョンスンの別れた妻キャサリンはジャーナリストとしてニューヨークのマフィアを追っていた。マフィアのドンであるドン・マルコには英国仕込み(ロンドン大学卒で英軍人として表彰も受けている)の家族ジャックがいる。ジャックは今やファミリーの表の顔だが、どん欲な面もあり大伯父に隠れて方々に「ビジネス」を広げていた。キャサリンはその裏の顔を暴こうとして、ジャック一味に殺されてしまう。

 

 巧妙な手口でマフィアを罪に問えないとしったジョンスンは、大統領の黙認を得て復讐を誓う。ディロンたち3人も協力を申し出、ジャックの「資金源」潰しを始める。ジャックは、イングランド南部で密造酒販売を、ロンドンでカジノを経営しており、さらに中東レバノン・イスラエル地区での武器密売、ロンドンでの銀行強盗も企画している。

 

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 ディロンが探りを入れたところ、IRAの過激派テロリストのマーフィともコンタクトがあり、スコットランドにあるマーフィの武器庫兼金庫もジャックの資金源だと分かる。正体のよくわからないマーフィについては、もう90歳になるというIRA伝説の闘士リーアム・デヴリンも知恵を授けてくれる。

 

 ディロンたちは、酒の密造所を爆破し、カジノはわなを掛けて営業停止に追い込み、モサドと協力して武器と代金を満載した密売船を沈める。マーフィの武器庫も、銀行強盗プランも・・・。ただ暴力・火力だけでなく、ディロンたちは情報力・知恵・人脈など多様な能力を発揮する。

 

 わずか300ページほどの中に、マフィアへの多重報復作戦がテンポよく描かれる。今の作家なら、最低でも600ページほどになっていただろう。マフィアが極めて残忍に描かれていのだが、だんだん彼らの方が可哀そうになってくるくらい、ディロンや元妻を殺されたジョンソンの作戦は容赦ない。このシリーズはあと2冊はあるはずです。根気よく探しますよ。