新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

「めいろま」さんのアドバイス

 2019年発表の本書は、元国連職員でイギリス人の夫君を持つ谷本真由美氏の国際情報書。筆者は「@May_Roma」のアカウントで舌鋒鋭いツイートをする人としても知られている。序章「日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか」に始まり、日本人が知らないものとして、

 

・世界の政治

・世界の常識

・世界の社会状況

・世界の最新情報

・世界の教養

 

 が挙げられている。島国で単一民族、それでいてそこそこの人口や経済規模を持つ「稀有」な国に住む日本人は、国際情勢に疎い。それは事実で、欧米人の国際情勢への関心度には及ぶべくもない。おっと「欧米人」とひとくくりにするのも良くないと本書にはあった。日本では外国人が「日本、こんなにすごいよ」とヨイショする番組ばかり流れ、外国からは、

 

・下り坂を転げ落ちる国

・失われた20年の対策を怠った国

 

 と冷ややかに見られていることに気づかないとも言う。ただ本書の中には、欧米人(ごめんね)の教養の低さを示した項もあり、初歩的な読み書き計算ができない人の割合(OECD調査)は、16~24歳の層でアメリカ・イギリス・イタリアでは30%を超えていて、55~65歳の層でスペイン・イタリアは50%を超えているとある。

 

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 ちなみに、日本では16~24歳の層では10%以下でOECD諸国中最低。だから聞きたかったのは「日本が下り坂・・・」とは、外国人のどういう人たちが言っていることかということだ。日本人に危機意識を持って欲しいという本書の主旨は理解しているが、世界の政治から教養まで「ひとくくりにして」何も知らないと決めつけるのはどうかと思う。

 

 巻末に「正しい知識を身に着ける方法」とあって、氾濫するWebメディア情報の見分け方が書いていある。これはいいアドバイス。公的なソースだけではなく、ブロガーやインフルエンサーでも信用できるタイプの例示がある。また信用できるニュースサイトも参考になった。Webだけでなくメディアリテラシーを育てる方法として「本をたくさん読むこと」とあったのも納得だ。

 

 国連を内部から見てきた人だけあって、国連の評価が面白かった。国連は町内会のようなものとして、老人が仕切っている・メンバーが変わらない・輪番制で役が廻って来る・メンバーの事情がバラバラ・いつもお金が足りない・・・と言う。これってウチのマンションの理事会・総会とそっくりですね。