昨日、大前研一氏の「人生100年時代、自ら働き方改革をしてエクセレント・パースンになれ!」という書を紹介した。プロとしての生き様には参考になることも多いのだが、本書はもう少し内省的な「100年時代の計」。
著者の五木寛之氏は(紹介するまでもないが)「青春の門」「大河の一滴」などで知られる文豪。本書は、2017年秋~冬に受けたインタビューをまとめたもの。筆者は当時85歳、統計上自分が100歳まで生きる確率は3.2%だと仰る。日本では医療環境などが整備され「2007年に産まれた子供の半分は107歳まで生きる」という。
筆者は、50歳までは「ひたすら山を登り頂上を目指す時期」だが、それからの「下山」が人生のハイライトだという。それも10年区切りとして、
・50歳代は事始め、心身共に元気なうちに下山期をどう生きるかを考える。
・60歳代は再起動、考えた生き方を実践するためにいったん全てをリセットする。
・70歳代は黄金期、下山途中の平坦な道で人生を謳歌する。
・80歳代は自分ファースト、嫌われ者になってもいい、誰にも遠慮せずに生きる。
・90歳代は妄想期、90年間の記憶を糧に時空を超えた楽しみを味わう。
のだそうだ。サラリーマンの人生に当てはめると、まだ現役バリバリの50歳代のうちから、その後のことを考えるべきということ。役職定年や本当の定年、第二の人生を迎えるまでには「下山期の計画」が出来ていて、準備に着手していなくてはいけないわけだ。そうすれば、リセット~黄金期~自分ファースト~妄想を楽しめるということ。
100歳人生にある3つの不安(経済的な変動・社会情勢・健康問題)も、しっかり準備をして乗り越えていこうとある。社会から隔絶されかねない高齢者にとって重要なのは、
・キョウイク、今日行くところの意
・キョウヨウ、今日は用事があるの意
で、心身の健康を保つべしというわけ。近著「孤独のすすめ」で紹介されていることらしい。
これらの教えは非常に分かりやすく、自分にもあてはめやすい。
・50歳代、ビジネス現場から政策分野へ軸足を移す。
・60歳代、企業の枠にとらわれず政策で「べき論」を議論する。
・70歳代、何らかの形で社会に貢献する。
という次第。このブログも、動けなくなってから妄想に浸るために記憶の補助というつもりで書いています。五木先生のお教え、実践しますよ。寿命ある限り。