一昨年のG20議長国だったサウジアラビア、別ブログで何度かとりあげているがデジタル屋にとっては中露と並ぶ困ったちゃんである。
行けなくて良かったかも - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
ところが本書を読んで「国際データ流通に竿差す国」程度ではない困ったぶりを理解した。2019年発表の本書は、現代イスラム研究センターの宮田律理事長の手になるもの。米国、イスラエル、サウジの3国は、イランという共通の敵に対して同盟関係にあるというもの。
サダム・フセインのクウェート侵攻の時も、米軍はサウジに火が付かないように、必死に防御線を引いた(砂漠の盾作戦)。またイスラエルがイランの核施設を攻撃した時も、慎重にサウジ領空は避けて通った。イスラエルもサウジも、米国の兵器産業のお得意さんであり、特にサウジは原油を売ったお金で米国の強力な兵器を買い続けている。
しかし、サウジの軍隊そのものは寡兵。あまり大勢だと、クーデターが起きてしまうことをサウジ家は怖れているという。軍事費一杯、だけど寡兵なサウジは、新兵器を使いたくて仕方がない。それゆえイエメンやバーレーンの民主化勢力を空爆などするわけだ。本来民主化勢力を叩く国は、民主国家米国の敵なはず。しかしロシアのシリア空爆は非難しても、米国はサウジを擁護する。
ムハンマド皇太子や以前のバンダル王子などを非難していたカショギ記者が、イスタンブールで暗殺された。その件については皇太子の関与は明白なのだが、米国は動かなかった。むしろ皇太子の「改革」を後押しする姿勢だ。しかし本書によれば、改革など真っ赤な偽り、ムハンマド皇太子こそ「反動」の中心人物である。