新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

B-17, Queen of the Sky

 「本棚」ではないのだが、このところ古い映画を見てついコメントしたくなることがある。今日はそんな一つの映画を紹介したい。題名は「頭上の敵機」、原題は「12-O'clock High」で、12時上空とは真上を指す。舞台となっているのは1942年ころの欧州西部戦線。まだB-29は実戦配備されておらず、米軍の主力長距離爆撃機はB-17である。この映画の主演はグレゴリー・ペックだが、実質的な主役はB-17という機体である。

 

ボーイング B-17 フライング・フォートレス

 ・運用開始 1938年4月

 ・全幅23m、全長32m

 ・戦闘重量 22トン

 ・戦闘行動半径 1,600km

 ・上昇限度 11,000m

 ・速度 520km/H

 ・兵装 12.7mm機銃×10

 ・爆弾搭載量 5.8トン

 

 アバロンヒル社に「B-17, Queen of the Sky」というソリテアゲームがあって、日本語訳もないのに買ってきて遊んでいたことがある。ソリテアなのでドイツの迎撃戦闘機はランダムに現れる。この映画で示されるように、爆撃機隊は密集体型を作って戦闘機を追い払おうとする。

 

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 いかに戦闘機(真上に来るのが一番怖い)の攻撃を振り切って目標に迫り、有効な爆撃をするかがゲームのポイントなのだが、性格の悪いプレーヤーだと搭乗員に嫌いなヤツの名前を付けて戦死したら大喜びしているヤツもいた。

 

 映画はイギリスに進出しドイツ占領下の大陸を白昼爆撃する命を受けた、米第8航空群第918航空団の戦闘を描いている。まだ長距離戦闘機(P-51など)の開発が完成しておらず護衛が付けられないころで、918航空団は対空砲火や迎撃戦闘機によって甚大な被害を被り「不運な戦闘団」として士気も落ちていた。そこに赴任したサヴェージ准将(ペック)は、スパルタ教練で航空団を鍛え、戦果が上がる部隊に仕上げるのだが、本人は精神障害を被っていた。

 

 映画で使用された空戦シーンは、全て実戦で撮影されたもの。その迫力は今CG全盛時代に見ても凄まじい。原作本は日本では出版されていないようなのが残念ですが、久しぶりに秋の夜長の戦争映画、堪能できましたよ。