新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

先進的な54社のDX事例集

 DXという言葉は浸透したのか、バズワード化したのか、聞かれるようにはなったが、誤解も多いようだ。本書は公益社団法人企業情報化協会(通称IT協会)が今年6月に出版した、DXの事例や意識調査結果集。「DX成功ガイド」と表紙にあるように、

 

・これからDXを始める企業には、どこからどうしたらいいかを

・すでに取り組んでいる企業には、確実に成果を上げるヒントを

 

 示したいというのが出版目的。経営トップがその気になり、実施テーマを決め、推進組織を設定することが最初に求められている。DXの目的について複数回答で聞いたところ、

 

1)お客様サービスの向上 74%

2)自社業務の効率化、高度化 61%

3)新サービス(商品)の開発 59%

4)DX基盤の開発 35%

5)DX開発技術の確立 13%

 

        

 

 だったとある。基本的なアイデアについては、お客様サービスの向上や新サービス開発については、自分たちで考えたケースが多く、業務の効率化/高度化については、同業他社事例を参考にしたが多い。活用した技術(複数回答)では、一般的なIT、スマホタブレット、データ関連技術が各72%で同点1位。これに次ぐのがAIで69%だった。

 

 加えて、既存システムからの入れ替え方や経営TOPの関わり方、推進体制の整備などについての調査結果が続き、54社の具体的事例が列記されていて、その評価については以下の6つの指標をレーダーチャート形式で表示してある。

 

・ビジョン/ビジネスモデル

・戦略

・人材/組織/企業風土

・デジタル技術

・成果と成果指標

・ガバナンス

 

 調査対象は、経産省などがかねて選んでいる、攻めのIT経営銘柄、DX銘柄の受賞企業などから選んでいるようだ。

 

 事例を見てみると、どうしてもお客様もしくは自社の業務効率化に資するものがほとんど。新サービスと言いながら、事業構造改革にまで至ったものは1/4くらいかな。デジタルデータを活用した事業構造改革こそがDXと思っている僕にとっては、もうちょっと多いと思ったのですが。