「パリ研修」など国会議員の外遊増に批判が集まっている。国会議員については、一般人は選挙特番や国会中継、精々政治討論番組で目にするくらいだ。その実態と課題、改善策について記されているのが本書(2022年発表)。著者の濱本真輔氏は大阪大学准教授(政治学)、「ポリティカル・サイエンス」などの著書がある。
国会議員になるには、一般に政党の後任が必要。供託金が高く(3~6M¥)、ある総選挙では候補をいっぱい出した共産党は、6億円ほどを没収されたとある。どうしてもハードルが上がり、挑戦できる人は限られる。
その前身はというと、地方議員が最も多い22%だが、当選率は57%しかない。次に多いのが議員秘書で13%、当選率は60%。当選率が高いのは官僚(72%)と首長(71%)。ステップとしての地方議員にも悩みがある。男性は「報酬が十分でない」といい、女性は「知名度がない」と及び腰だ。
晴れて国会議員になっても、自らの意見を法案などにまとめるのは容易ではない。公金で雇える秘書は3人まで。平均7名の秘書がいるというから、4人分の給与は自分持ちだ。議員の地元での活動は、かつては「利益の分配」だったが、低成長・高福祉社会になって「不利益の配分」をしなくてはいけないことも悩み。
国会では数ある委員会に所属し、与党の場合は政調会での調整を受ける。法案の初期審議は与党政調会に任され、内閣は関与しない。政調会には4つの機能がある。
・議員間の情報共有
・関係者の合意形成
・政府との調整
・議員の政策能力の評価
議員立法が増えてきたといっても、欧米に比べれば低調。自ら法律を作るという国会議員の本文を全うするのは難しい。そんな日本の国会議員の改善策を、本書は3点挙げている。
1)国会会期の延長
2)内閣の法案審議への関与強化
3)少数者調査権の拡充
このほか「政治とカネ」についても記述があり、勉強になりました。やっぱり議員先生は大変なのですね。